第14話

「ちょ、ルー! 匂いをかがないで、くすぐったい」

「だって俺、この匂いが好きなんだ。フェンテが帰ってきたんだなってすぐわかるから」

「でも……あっ」


 首筋をぺろりとなめると、塩の味がした。

 刹那、フェンテが思わず声を出した。そこには甘い色が含まれていて、ガルーの心臓の鼓動を早める。


 もう、止まらない。いたずらっ子のようにフェンテの身体をなめ回す。


「んっ……ルー、やめてっ。くすぐったいからっ……変な気に、っ」

「なれよ?」

「ひゃ……あっ!」


 ガルーが耳たぶを噛むと、フェンテから嬌声が漏れた。

 聞いたこともない嬌声が耳元から腰に抜け、ガルーの中を痺れさせる。狼の時のようにふるふると身体を震わせている間にフェンテがお返しとばかりに耳の中をなめる。


「フェン……テ?」


 彼は完全に欲情しているようだ。ガルーだけでないとわかると嬉しくなって、匂いを嗅ぎながら、じゃれるように抱きつく。


「サーヴァントに欲情するなんて、いけないマスターだなぁ」

「ちょ、ルーが先に好きだって言ってきたんだろ?!」

「でもフェンテも好きって言った」

「言ったけど……好きだけど!」

「じゃあいいじゃねぇか」


 何の問題があるんだ? とガルーが口にすると、フェンテは押し黙った。その隙に、口づける。

 フェンテは嫌がらなかった。調子に乗って舌を入れる。すると、こっちだよと言わんばかりに、自らの舌へ誘導された。

 水音が響く。嫌らしい感じに。


「人に好かれるって気持ちいいよな……」


 唇が離れて、フェンテがぽそりと言った。


「最初は殺意丸出しだったのに、だんだん俺に向けられる視線が好意になっていくのがね……なんとなくだけどわかったんだよね……」


 言いながらガルーの耳の後ろ辺りの髪をするりするりと梳いていく。


「わかったらさ……その視線がさ、快感に変わっていくんだよね……こう、ぞくぞくぞくって」

「もっと……気持ちよくなるか?」

「じゃ……脱いだ方がいい?」


 しわくちゃになったドレスの下から、コルセットが出てきた。


「胸……まっ平らだけど……」

「いい」


 背中の紐を手荒く解き、コルセットを脱がせた。出てきた胸は男性のものだったが、乳首はぷくりと芯を持っていた。


「たってる」

「や……言うなぁ……」


 親指でめり込ませるように刺激を与えると、背骨をしならせた。


「おいしそう……」


 言うなり口を開け、フェンテの胸に顔を埋めぺろぺろと舐める。


「う……、あ」

「ここ、いいんだ……?」


 ガルーは上目遣いで見上げながら舐め続け、同時に手を胸から下へと移動させる。


「下、反応してる」

「う……」

「触るぞ?」

「んっ……」


 下着を脱がせると、出てきた竿の下の袋の部分も胸同様ぐっと押し込む。竿がぐっと持ち上がると同時にフェンテの口から切なそうな息が漏れた。

 息を吐く間隔が短くなり、だんだん興奮してきたのだとわかる。ガルーも自らの下着を脱ぎ、下半身を空気の元にさらす。


「たってる……」

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