異世界の歓迎会

俺の頭がなんとか冷えたころ、俺達は晩餐会の会場へ連れられていた。


舞踏会とかやってそうなぐらい広い感じだな、おお、あれが異世界の料理かー。


料理は、中央の机の方にあり、様々なものがある。見た目はそこまで派手じゃないな。


クラスメイト達も今まで来たことのない、豪華すぎる会場と中央にある異世界の料理に言葉もでないようである。


おくの王座に王様が座っており、隣には王妃と思われるおばあさん、王女や王子らしき美少年の姿も見える。国王も昔はすごいイケメンだったのだろうか。


また、いかにも騎士団長っぽい人やその部下、また魔術師みたいな人もいて、総勢で50名ほどいるみたいだ。


「勇者様方、改めてこの世界へようこそ!存分に今日は楽しんで、英気を養ってくれたまえ。」


と、王様が言い、それに続いて俺達以外の人たちが拍手をしてくれる。なんか照れくさい。




それからは、存分に料理を楽しんだ。味は王様があれだけ言う程だ。美味しくないとおかしい。


特にこの、異世界の果物の盛り合わせが美味しい。こんなのが生えてるんだな……悪くないな。異世界。


気付いたらかなり平らげてしまったようだ……食べるのに夢中になってしまった。




立食パーティー形式なので、当然異世界の人達とも話しているクラスメイトは多い。


当然美人な人もいるのだが、隼人の方に質問攻めをしているようだ。あいつも大変だな。


雫は、これまた政治のえらーい人っぽい人に言い寄られている。まあ、雫はまったく動じておらず、断りをいれているようだ。


他のクラスメイトも、思い思いに過ごしているようである。


それで俺は……樹の姿を探した。あいつちっこいからどこいるのか分かりづらいんだよね……




っと、いた。ん?誰かと話しているのか?


樹の前にいるのは、この場にはあまり相応しくない格好をした青年だ。


というと、青い軽そうな鎧をつけており、下につけている布地の服はぼろぼろだ。


背中には身長ぐらいある剣を背負っていて、腰にも普通の剣が差さっている。


黒い目に加えて黒い髪と、珍しくファンタジーっぽさが抑えられてるな。


「おーい樹、誰と話してるんだ?」


「……」


うん。いつもどおり。


「おお、お前も異世界からきたっていうやつだな。それならこの子の知りあいか?何も話してくれなくてな。」


いつものやつをやってると、樹と話してた?人がちょっと困った顔でたずねて来た。


「はは、こいつちょっと話すのが苦手なんですよ。それでどうしました?」


うん、苦手なのかは知らないがこう言っとこう。


「そうかそうか、まあしょうがないな。俺の名前はアルスだ。この先あんま関わる事はないと思うが、よろしくな。」


「俺の名前は藍祐介っていいます。よろしくお願いします。アルスさんは騎士の?」


「ん?ああ俺はあんなお偉い奴らじゃない。なんでも屋って感じだ。」


ふむ……よくわからない人だな。


「お前らも頑張れよ?大変だろうからな。さて、よその世界から来たってやつらがどんなもんか見れたから、もういる必要もねえな。じゃあな。」


「え?はい!」


俺がそういうと、笑って会場からでていった。


ほんとに誰だったんだろうか。まあ只者ではないだろうな…



「……」


あ、樹がこっちを見てる。そういえばあれから話してなかったな…


「樹、さっきはごめん。取り乱したけど、俺はあの時、樹と話せて本当に嬉しかった。」


「……」


少しの間こっちに顔を向けて、樹はどこかへいってしまった。


うーん、やっぱり怒ってるかな……明日また、話にいくか。




それからは、立食パーティーもお開きとなり…部屋に戻った俺は、一瞬で眠りについたのだった。


異世界のベッド……悪くないな……


明日から戦い方を学ぶらしいが、どうなってしまうのだろうか。

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