世界の法則短編集
鯊太郎
第1話 ジラートの法則
南の海で、船が遭難をした。
船長や乗員、そして私達乗客を含めると、およそ五十人ほどである。私達は残った水と食料を分配すると、残りの一週間近くをただ漂流した。
ところが八日後、遠くに小さな島が見えて来た。
五十人は手に手にオールとなるものを持っては、その島へ向かって必死に漕ぎ続けた。もう少しでその島へと
「こんな小さな島では、たとへ上陸できたとしても助かる見込みはないだろうな・・・」
(今そんなことを言う必要があるのか?・・・)
皆んなは一斉に、その男へ厳しい視線を送る。そんなことを意に介さず、男は更にたたみかける。
「もともと俺達は死ぬ運命なんだよ・・・」
少しでも希望を胸に
「黙って櫂を漕ぐんだ。その先、私たちは嫌でも五十人で共同生活をしていかなければならないんだから・・・」
別の紳士が皆を
しかして、船は無事にその島へと辿り着くことができた。はじめ小さく見えていた島は、思ったよりも大きく、更にその島には原住民二百人ほどが彼らを暖かく迎えてくれた。
それでも、例のあの男はいつまでも不平不満を口にする。
「何れはこの野蛮な原住民たちとも、きっといざこざが起きる時が来るものさ・・・」
この言葉には、原住民たちも皆一様に不快な顔を表す。
はたして男は、この後も皆の者達と上手くやっていけるのだろうか、それだけが心配である・・・
【ジラートの法則】
人は普段の生活の中で、平均して250人ほどの人間と繋がりを持つと言われている。
つまり、一人を不快にすると言うことは250人を不快にする(敵に回す)と言うことにもなりかねない。と言う「人付き合いについての法則」である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます