第17話 コードとコード進行

 先日、ムッシュこと故かまやつひろし氏とCharさんが対談している番組を、某動画サイトで観た。

 日本のみならず、世界の音楽にも影響を与えた偉大なギタリストのご冥福をお祈りいたします。

 偉大なこの二人が楽しそうに話していたのは、ほとんどコードについてだ。

 ムッシュが

「これ知ってる?」

 そう言って押さえるコードを、

「何それっ?」

と、身を乗り出すChar。

 お互いが繰り出す秘密のコードに、いい歳すぎる二人がキャッキャしていた。

 何のコードになるかわからないし知らないという、不思議な響きの和音を検証しながら、グループサウンズの曲に組み込んだり、セッションを始めたり。


 惜しまれながら(?)終わってしまった新堂○兄弟という番組で、玉置浩二さんがKinki Kidsに曲を提供したことがあった。

 番組の中で、いきなり曲を作りはじめる玉置さん。

 ギターでコードを鳴らしながら、鼻歌でメロディが出来上がっていく。

 後ろで槇原敬之がはしゃぎまくっていた。

「あ、そこからそっちいくのっ!え、更にそっちっ!」

 すごく綺麗な曲で、鼻歌だけで高橋みなみが泣き出すほど。

 あらためて動画を観ても鳥肌が立った。

 あっという間にできあがったのは、“むくのはね”という曲。

 難しいコードを使っているわけではないのに、不思議な優しい響きの曲だ。


 コードは音の組み合わせだ。

 理論も確立されているし、未知の領域なんてなさそうに感じるけれど、そうでもない。

 確かに気持ちいいコード進行はあるし、このコードの次はこっちかそっちだろう?という感じはある。

 ただ、きれいな響きだけがアリなわけではないし、定石通りの流れが正しいということでもない。

 単体で聴くとただの不協和音にしか聴こえなくても、曲の中に潜んでいると違和感がなかったりする。


 まったく厄介な世界に足を踏み入れてしまったものだ。これだけで、死ぬまで遊び続けられるじゃないか。

 まだまだワクワクできる。

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