大喜利のコーナー

(曲が終わったのにまだヘッドバンギングをしているマオウと勇者)


「はい、というわけでSlipknotの(Sic)でした。いつまで頭振ってるんですか二人とも」


 いやー、凄かった。怒涛の勢いってやつだねこれは。

 人間の作る曲も馬鹿にはできないもんだよ。素晴らしい。


「久々に聞きましたけどやっぱり初期のアルバムの曲はいいですね」


 あ、これ初期の奴なんだ。


「ええ。これとデビューアルバムは初期衝動で作られたのか、非常に激しい曲が多いんですけどそれ以降になると段々歌とメロディに比重が掛かっていくんですよね。それが悪いわけではないんですが、やっぱり勢いのある初期の作品の方がボクは好きですね」


 なるほどねえ。確かにそれはあるかもな。僕もこっちの方が好きだわ。

 さて、じゃあ次のコーナーに行くよ。



『大喜利』のコーナー!



「このコーナーはお題に沿って考えてもらったネタを紹介するコーナーです。ラジオではもはや定番ですね」


 というわけで、今回は勇者が来ると言う事でベタだけどこのようなお題にさせてもらいました。


 題して『こんな勇者とはパーティを組みたくない!』です。


「勇者と言えばやはり人に尊敬されるような人格者であってほしいものです」


 とはいってもね、やっぱり勇者も人の子、色んな人がいるもんだよ。

 例えばロットンなんかはいわゆる勇者と言われて想像する勇者像とは程遠い人物だったね。でも彼には凄いカリスマと、途方もない事をさぞ簡単に出来ると思わせる弁舌があったんだ。だからこそヴァルディア軍を動かして裏世界に攻め込むという偉業を達成させたわけだけど。


「改めて聞くとやっぱり英雄なんだなって思いますね、ロットンって人は。ボクなんかとは思いもよらないくらいスケールの大きい人です」


 でも彼はかなりズボラでいい加減な部分もあって、その点はとても褒められた人ではなかったねえ。まあそういう所も含めての彼の魅力なんだろうけどね。

 はい、では早速ネタの方に行きますか。


 投稿者、僕。

 こんな勇者とはパーティを組みたくない!



『勇者なのに童貞』



「おいこらちょっと待て」


 ん? どうしましたハッシーさん。


「どどどど、童貞ちゃうわ!」


 いや、僕は別に貴方の事を言ったわけではないのですけど。


「というかマオウ様なにリスナーに混じって投稿してるんですか」


 いいじゃないか、たまには僕もネタ投稿したかったんだよ。

 ところで勇者ハッシー殿は童貞なのですか? まさか勇者様ともあろう御方がそのような事があるのでしょうか?


「実は私も気になっています。英雄色を好むとはよく言いますし?」


「……まだ、童貞です」


 ほっ。安心したよ。まだ君の純潔が守られていた事に。前も後ろも。


「後ろもってなんだよ! 怖い事言わないでください!」


 前はイリーナが虎視眈々と狙ってて、後ろはパウロでしょ? 前門の虎後門の狼ってやつだよね。


「例え方が間違ってると思います。あとイリーナはともかくパウロはその辺りわきまえていましたよ。そういう欲望はお店で発散してましたね」


 なんだ、意外とまともな男なんだな。つまらないな。


「つまらないとは酷いですね。ボクが襲われた方が面白いとでも言いたそうじゃないですか」


「実際その方が面白いし話のタネになりますよね」


 わーおユミルさんさりげに外道。

 という訳で、勇者の一番槍を狙うなら今がチャンスだぞサキュバスの皆さん。

 聞くところによると、勇者の精を搾り取ったサキュバスは傾国の美女にクラスチェンジできるらしいよ。ぜひヤってみようチャレンジQ。


「サキュバスの進化版が妲己とか初めて聞いたんですが」


 似たようなもんでしょ。

 さあ次のネタ行くよ。



『人の家の中に勝手に入って、壺やタンスの中を物色し出す勇者』



 いやぁこれは酷い! 勇者どころか泥棒じゃないかこれじゃ!

 もちろんハッシー君たちのパーティはこんな事やってないよね?


「一度やりました。まだボクが一人の時に」


 マジか。


「ほら、某国民的RPGや某最後の幻想RPGでは定番の行動じゃないですか。民家や城があってタンスや壺、宝箱があったらガンガン開けるっていうのは」


 いやまあそうだけどさ。


「だからこっちの世界でそれが出来る! と思ってウキウキでやったら即フライパンで頭をぶん殴られましたね。よくよく考えれば当たり前なんですけど」


 泥棒ダメ絶対! みんなも真似したら駄目だよ!

 類似のネタで、



『墓を荒らしたり死体から装備や道具を剥ぐ勇者』



 ってのもあるんだけどこっちはどうなの?


「そっちに関しては実は結構やってますね」


 マジか。


「死体は喋らないし動かないし、お墓に供えられたものなんてめったに誰も見に来ないですからね。埋められてるものなんかまして掘り返して確かめもしないですし。流石に人が良く訪れる墓は荒らせませんが、山や洞窟にある墓なんて宝箱も同然ですよ」


 死体や墓から物をかっぱぐなんて君らにはモラルってものがないのかね! マオウがっかりですよ!


「そんな事言ってたら冒険者稼業なんてやってられませんよ。そもそもピラミッドやらを冒険者が散々荒らしてるのにボクらがそれやっちゃいけないっていう道理はないでしょ」


 開き直りよったぞコイツ。いやさ、死体とか墓には霊とかつきものじゃないか。

 そういう時はどうしてるの?


「意外と死体のそばに霊が居る事、確かにありますね。でも大抵そういうのって正気を失ってこっちに襲い掛かってくるか、頼みごとをしてくる自縛霊ですし」


 そういう地縛霊とかに頼み事されるものなのか。


「ありますね。よくあるのが想い人のお守りを無くしてしまったので探してほしいとか、あるいは無念のうちに倒れたのである人物を倒してほしいとか様々ですね」


 依頼を達成したら何かあるの?


「あったりなかったりですね。でもまあ霊を成仏させると経験値が入るんですよ。そういうイベントをこなしたりするのもだから大事ですね」


 なるほどなあ。

 お、じゃあ次のネタ行きましょう。



『ケチが行き過ぎてついには食材に魔物を利用し出す勇者』



 おおー……。でも魔物を食材に、って意外と実例あったような気がするんだけどな。


「動物系の魔物はそれなりに利用されていますね。ウサギだとかクマだとか」


 それ以外のスライムやジャイアントバット、マンドラゴラやクラーケンまで食べだしたら本物だよね。


「いやでも、魔物も意外とおいしいものですよ。レッサーデーモンは美味でした」


 え?


「え?」


 うん、今のは聞かなかった事にしよう。

 さ、次のネタ行こうか。



『なぜかぷるぷるしてるおじいちゃんが勇者に任命されて世界に旅立つ』



 あー……うん、これはね。


「むしろ介護してやらなくちゃいけないですね。この勇者」


 でも専用装備で自律駆動介護ベッド装備させたら強そう。装備枠は全身鎧で。


「なんかどっかで聞いたことあるような設定なんですけどそれ」


 では次のネタ行きましょう。



『おばちゃんが勇者になる。でもなんかやたらと強い上に魔王まで討伐して伝説の勇者になる』



「あ、なんとなくこれはボクわかる気がします。大阪のおばちゃんとか絶対に強そう」


 気の強いおばちゃんに勇者の力が備わったらめっちゃ強そうだよね、たしかに。


「髪の毛をめっちゃくちゃ派手に染めたりパーマにしたり、服は虎の顔をでっかくプリントしたやつ着てて多分威圧効果はばっちりだと思います。回復アイテムも飴ちゃん持っててバッチリですね。気遣いもできるし実は勇者に向いてるとボクは思います」


 はい、では次のネタどんどんいきましょう。



『冒険開始時に何も装備していない勇者』


 

 裸族かな? それとも王様から何も貰えなかったクチかな?


「実は意外と装備なしで冒険に出る無謀な勇者も結構いる模様です。似たような例ではダガーのみを持って冒険に出た人もいますね。彼の場合は航海に出た後嵐に遭遇して装備が全て流失したという不幸な事例ですけど」


 魔物を相手にするのに素手とかありえないでしょ。

 某国民的RPGの最初でもヒノキの棒くらいは持ってたよ。


「ボクも一歩間違えたら何も装備もらえなかったと思うとぞっとしますね」


 え? 一応君は王様の庇護あったんじゃないの。


「あるにはありましたけど、王様は屈強な勇者を望んでいたのでボクが召喚されたのを知って終始不満げでしたね。仮にも王様なんだからそこは仮面をかぶっていてほしかったのですが」


 勇者って選んで呼べるものでもないんだね。


「何処の世界から誰を呼べるかというのは完全なランダムですね。だからこそボクみたいなのがこの世界に来たのですが」


 自分を卑下するのはやめよ? 最初はひょろひょろでも今の君はとても強くなったことに変わりはないだろう?


「そうですよね。レベル98にもなればもうかなり強いですもんね」


 そうだよ。自信もっていこうぜ。

 さあ、次のネタに行きましょう。

 こんな勇者とはパーティ組みたくない!


『勇者なのに魔法も使えない、戦士みたいなやつ』


 なんかこれ、某RPGの勇者をピンポイントでDisってない?

 大丈夫これ。


「具体的にはⅡですね」


 より詳しく言わなくていいから! 怒られる!


「でも彼はパーティの中では一番頼れるんですよ。なんせHPと攻撃力が高くて色んな装備も出来て、まさに主力と言っても過言ではないほどに。もう一人の王子の貧弱さたるや涙が出そうになりますよね。いやリメイク版では強化されましたけども」


 これ以上詳しく言うのは禁止!

 はい次……はないのかな?


「あ、じゃあボクが考えたネタいいですか?」


 お、ハッシー君何かあるの?

 じゃあちょっと発表してみて。


「いきます。触るなと言った物を触ったり、とにかく禁じられたことをついやってしまう勇者。というかボクの事なんですけど」


 君なのかよ。


「はい。以前訪れた忘れられた神の遺跡で、うっかり守護者を模った像を触ってしまったらエライ事になりまして」


 起動しちゃったのね。


「ええ。三回行動がデフォで剣による攻撃もすさまじい火力で、しかも倒しても遺跡に入り直すたびに復活するとかもう嫌になりましたね」


 それでパーティよく壊滅しなかったもんだね。君は運が悪いのとうっかりをやらかすから注意せんとあかんでよ。


「肝に銘じておきます」


 お、どうやら時間のようだね。

 という訳で大喜利のコーナーでした!


 では曲紹介行きましょう。

 アーティストはアラストール、曲名は「復讐の刃」です。どうぞ。

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