第36話 対スケルトンドラゴン戦
『装填・焼夷弾!』
オレは大口を空けてるその中に焼夷弾をぶち込む。
と、口の中が燃え始めたドラゴンは暴れだす。どうやらブレスは封じることが出来た模様。
なんかあれだな、熱々のたこ焼きを頬ぼっている感じだな。
おっと、そんな感想を言ってる場合じゃない!
『装填・劣化ウラン弾!』
まずは足に向かって連射だ!
次に動きを封じようと足の骨に穴を開けていくが、開いた先から塞がっていく。
あまり太い骨にはオレの弾丸じゃ無理があるか。
やはりポーション水でしかダメージが出せないか。しかしポーションじゃ表面しか……
オレはじっと手元の銃を見やる。
いけるか? やってみるか?
『装填・ポーション弾!』
オレはハンドガンのままそう唱え引き金を引く。
「ギャオォオオー!」
弾丸がスケルトンドラゴンの足を貫く。そして貫いたところがぐずぐずと溶け出し穴が広がっていく。
どうやら圧縮されたポーションが水弾となって射出された模様。
これなら勝てる!
オレは片方の足を集中的に穴を開ける。
すると大きな音を立てて片足が折れた。
『装填・焼夷弾!』
体制が崩れて動けなくなったドラゴンに焼夷弾を何発かぶち込む。
そしてすぐにポーション弾に戻し重要関節を貫いていく。
ドラゴンが最後の足掻きとばかりに炎の噴出す口を開きブレスを放とうとする。
オレは右に回りこみながらひたすら首の骨を狙う。
ドラゴンがオレをロックオンする為に首を動かしたとき、無数に穴の開いた箇所にひびが入り……
『装填・ホローポイント!』
ホローポイント弾でそこへ衝撃を与える。すると、だ。
「オォオオ、ギャオォオオー!」
大きな叫び声と共に首が折れた。
それでもまだ生きているようで、頭部分からブレスが放たれる。
まあ、あさっての方向へだがな。
胴体部分もまだ動いている。これどうやったら死ぬのぉ?
そっから30分以上はポーション弾をぶち込んだだろうか。
ようやく体の活動が停止する。
さすがに、これだけ赤外線スコープとポーション弾の併用はきつすぎる。
オレも気絶寸前である。
「はあ、はあぁ、つ、疲れた……」
暗視スコープをオフにして壁に寄りかかる。
ドラゴンはオレの焼夷弾で、まだあちこち燃えているから灯りには困らない。
と、どこからともなく拍手の音が。
「いや~、1人でダンジョンのラスボスを倒すとはね~。御見それしたよ」
あのばばあ、やっぱり故意だったか。
そこには王都から家庭教師として来ていたあのおばさんが立っていた。
「ここの部屋はね、よもよもしていると骸骨どもが、ダンジョンの奥深くからラスボスであるスケルトンドラゴンを召喚するのだよ」
あれラスボスだったのか。どうりで強いはずだ。
「このまま君を始末するのは容易い。しかし、少々勿体無いな。どうだい、私の下僕となる気はないかい?」
おばさんが杖を掲げてくる。
オレも対抗して銃を突きつけてはいるが……撃てるか、オレに?
「ただし、アンデッドとしてだがね!」
オレに向かって氷のツララが無数に向かってくる。あっ、これ避けれネーヤ。
だが、その氷が辿り着く瞬間、オレの目の前に炎が渦巻く。
「ほんとはどうしようかなって一瞬迷ったんだけどね」
「まあ、これであの時の事も水に流してくれや」
オレの目の前にはハルシアお嬢様が。そしておばさんの後ろにはラルズさんが剣を突きつけている。
「まさかあのファイナース家が本気で護衛していたとはねえ」
「それも調査の一環かい?」
「そうかもしれないね」
おばさんは杖を地面に投げ出し両手を上げている。
「せめて黒幕ぐらいはしゃべってもらえないかね」
ハルシアお嬢様はそう言う。
「いいよぉ、ただし、今回の事は『無かった』ことにしてもらえないかい? なんせ私の第一使命はシュマお嬢様の魔法の教育だからね」
「それで第二使命はセイジの抹殺か? あの王太子がか?」
「いえいえ、王太子はなにもご存知遊ばせませんわ」
「ちっ」
そう言ってラルズさんが剣を引く。
「あの姫さんの黒い噂は聞いた事があるが……とんだブラコンだな」
「フフフ、そういう訳ですよ。こちらの領主家には悪いようにしない。まあ、今後も機会があれば……狙わせてもらうけど、ね」
そう言ってオレにウインクしながら部屋を出ていくおばさん。
オレはまったく理解が追いつかないのですが?
「セイジ、とんだ奴に狙われたね。王家の姫の勅命ともなれば迂闊に返り討ちにも出来ない」
「王家に弓を引くことになるからな」
えっ、オレ、あの妹さんに狙われてるの? えっ、オレなんかやったっけ?
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