駄空コソ。

駄空猫

第1詩 短編

或る日、見た夢

とても晴れた蒼い空が見える。

流れる雲のように僕は流れていて、何処へ向かうのかもわからない。


暗くて狭い箱庭の中、細い明かりの中、ただその空を見ていた。


――ふと、僕の流れが止まる。

雲は流れているけれど、僕は止まった様だ。


急に怖くなって「ここはどこ?」ずっと鳴いた。

雲が流れるたびに何故鳴いているのかもわからなくなっていた。


*


僕の居る箱庭は時々開けられて、人の声がする。

僕に優しく触れる人、声を掛けてくる人、意地悪をする人。

雲が流れるたびに色々な事があった。

でも僕を抱き上げる人は誰も居なかった。

ただ空だけは何時も優しく僕を見てくれていたんだ。


*


ある日のこと。雨が沢山降っていた。

氷も何もないのに冷たくて、何だか悲しくなる。


「空が泣いているのかな?

今まで優しくしてくれたから僕も一緒に鳴いてあげる」


だけど僕はもう鳴く事は出来ない。

声にならない声で空のために鳴いた。


どうしてだろう?

以前此処に来たときはとても怖かったのに今は不思議と怖くない。

以前見た空は蒼さがとても悲しかったけれど、今は違った。


箱庭の間から冷たい雨が落ちてくる。

雲に覆われて真っ暗だけど、そんな空が僕には晴れて見えた。


*


気が付いたら小さく丸まってた。


段々と眠くなってくる。

雨はもう止んだみたいだ。

そんな空はもう夕焼けだけど、朝みたいに明るくて

とても綺麗だった。

僕の目は空を捉えて離さなかった。


意識が薄れていく。

(何だか疲れたな・・・)


目を瞑ったらいつの間にか

空が僕を迎えていた。


その空は何時もと違って僕の心に映った。

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