イマジナリーフレンド

かず。

1. 少女は一人部屋の中で

嫌な夢を見た。私がダニの大群に襲われて、それを見ず知らずのおじさんが駆除してくれるっていう不可思議な夢。私の頭の中でどういう作用が働いたらあんな映像が浮かんでくるんだろう。そんなわけで寝起きから体がうずうずして気持ち悪いけれど、それよりも寝起き特有の気怠さの方がずっときつい。ベットの上に置いてある古ぼけた目覚まし時計は12時20分をちょうど刻んだあたり。私はとりあえず、カーテンを開けた。曇っている。木造の部屋が灰色の薄日に照らされて、なんとなく埃っぽい感覚になる。うわ窓、というのだろうか。私の部屋のガラス窓は上半分に位置していて、その下半分には物が置けるスペースがある。そこに花屋で適当に選んで買ったサボテンをおいて、日光浴をさせてあげている、つもり。実際植物の育て方なんて調べてないし、生き物の生命力の強さを私は信じているから気にしていない!

......可哀想なサボテン。私みたいだ、とか自分を重ねて見たりするときは大体夕方あたりで、うーん、1人って本気で寂しい、と夕暮れに嘆く。でも、私には、外に出る勇気がない。枯れ果ててしまっている。窓辺のサボテンみたく、ガラス窓越しに太陽を浴びて、コーヒーを沸かして飲んで、タバコをぷかぷか吸って、ごろーんとして、気づいたら寝てる。いわゆる引きこもり。自堕落!自堕落!自堕落!。どうしてこうなったのかって聞かれたら、そんなの私が知りたいよって応えると思う。理由なんていっぱいありすぎて、なんかもう一周回ってなにがなんだかわかんなくなってしまった。それが今の私。今年で22歳を迎える、引きこもりな少女で、ついでに少女の「う」を抜かした人間である。


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