第2話

 光がおさまり、辺りを見渡すとどこまで続いているかも分からない白い空間だった。


「ここはどこだ?」


 すると、上から誰かが降りてきた。空中・・をゆっくりと・・・ってどうやってんだ!?

 その降りてきた人?は腰までの長い銀髪で碧色の目をしている美女だった。


「あなたは誰なんだ?」

『私はこの世界アクアエストの女神です』

「女神だって!?」

『驚いてくれるなんて珍しいですね、最近はあまり驚いてくれる人が少なくてその反応は面白いです』


 女神さんはくすり、笑みを浮かべた。


「それで俺はなんでここにきたんだ?」

『あなたを召喚しようとしている召喚者のところにいく前にどういう状況なのかと説明しようと思いまして』

「そうですか」


 まだ現状を理解できていないので説明してくれるならありがたい。


『まず天堂光騎てんどうみつき様。あなたは、この世界を救うために召喚されます』


 ということはこれはまさか─。


「これは勇者召喚ってやつなのか?」

『はい、その認識で大丈夫です』

「でも、俺は普通の高校生だし特に何もできないと思うんだけど何か能力でもくれるのか?」

『後で能力については言いますので、次にこの世界の現状について説明します』


 能力はとても気になるが仕方ない、先に現状を話してもらおう。仕方ないんだ。


『そんな顔しても能力は後に話しますからね』

「あはは・・・」


 と苦笑した。

 どうやら顔に出ていたようだ、気をつけなければ。


『それで現状ですがこの世界の勇者が魔王の所まで行きつくまでは良かったのですが魔王が強く、負けてしまったのです』

「勇者って負けたりするんだ?」


 勝つか、相打ちになることになるのが普通だと思ってた。


『今回の魔王は高レベルでとても強いので』

「俺に勝てるのかな?」

『それはどうなんですかね〜』


 戦う前から不安になるこというなよ。本当に心配になってきた。


「それで能力の方はどうなってるの?」

『もう与えているので、゛ステータス゛と唱えて下されば見れますよ』


 いつのまに与えてくれたんだ?

 とりあえず、強いのこい!


「ステータス」


 唱えると目の前に薄緑色のステータス画面が現れた。


 ♦️ステータス♦️

[名前]天堂光騎 Lv.1

[種族]人族

[スキル]剣術9、言語理解

[ユニークスキル]性能交換レベルチェンジ

[加護]アクアエスト神の加護




「えーと・・・、これって強いのかな?」


 見ても全く分からないな。でもLv.1ってことは弱そう。


『勇者は基本的にユニークスキル一つと言語理解と神の加護は基本です』

「それじゃあ俺って剣術しか増えてないのか・・・」

『そう落ち込まないでください、剣術のスキルレベルは9で最大ですよ』

「スキルレベル最大なのか、でもなんでいきなり最大なんだ?」

『勇者のスキルは潜在能力を最大まで解放しているだけなので剣術の素質があったということでしょう』


 剣術しか追加されなかったってことは魔法ってどうなんだろう?


「俺ってスキルに魔法がないけど使えるの?」

『あ〜無理ですね』

「なんで?!」

『非常にいいづらいのですが、あなたには魔力がないんですよ。珍しいことに』

「せっかくの異世界だから魔法使いたかったな」

『これに関してはどうしようもないですね』


「じゃあステータスについて説明してくれないか?」

『それでは簡単に説明します』


 女神はこう説明してくれた。


 ○剣術

  剣の扱いが上手くなる

 〇言語理解

  異世界の言葉が読める書ける話せる

 〇性能交換(レベルチェンジ)

  視界内にいる任意の相手と自分のレベルを交換する

  交換した場合そのレベルに応じた性能になる

  効果持続時間(相手のレベルー自分のレベル)秒

 〇アクアエスト神の加護

  勇者だけが持っている加護

  取得経験値量上昇

 〇レベルは1~100まで

 〇スキルレベルは1〜9(例外あり)


「性能交換って強いよな、魔王と最初に戦えたら簡単に倒せそう」

『最初からいけますよ』

「えっ!?」

『前の勇者が魔王のところまで行って言いましたよね、ですのでいきなりいけます』

「普通はいろいろやることやらないと行けないですよね?」


 鍵を集めたりするとか魔王城に入るために魔王の幹部たちを倒したりいろいろあると思うんだ。


『それはもう終わってるので、あなたがやることは魔王討伐しかないんですよ』

「だから、俺の能力がいかせる最初から行ったほうがいいと?」

『そう言う事です』

「でも装備とかないからな」

『装備ならありますので、少し待っていてください』


 そう言うと女神はいきなり俺の目の前から消え、待つこと一分程度で目の前に出現した。その手には黄金の剣があった。


『これが言っていた装備です、どうぞ』


 俺は女神から剣を渡された。それを両手で受け取りその剣を見ると気になるところがあった。

 蒼色の玉が三つはめ込んである箇所があったのだ。しかも2つは光を放っている。


「この玉が光っている理由ってあるの?」

『それはその剣の能力が解放されているからですね、いまのところは2段階までですかね』

「それで解放するとどんな能力が解放されるんだ?」

『まず──』


 女神はこう説明してくれた。


 第一段階解放をすると光属性が追加

 第二段階解放をすると攻撃に不死無効が追加

 第三段階解放をすると聖なる斬撃セイクリッドスラッシュを放てる


「解放してない第三段階はどういう条件で解放できるんだ?」

『レベル100になることです』


 それはなんとも長い道のりだ、使うことあるのかな?と俺は内心ため息をついた。


『これで装備もありますし、魔王のところにいけますね』

「それじゃあ魔王のところに送ってもらうってことで」

『わかりました。召喚者には私の方から伝えておきます』

「聞いてなかったことがあるんだけど」

『はい、なんでしょう?』


 このこと結構重要だ、なんで先に聞かなったんだろう?いきなり神とかでてきたからしょうがないかと内心結論づけた。


「二つあるんだけど、まず地球に帰るっていうのは可能なのかということと向こうの世界アクアエストの時間の流れに差はあるのか?」

『まず今は地球に帰ることはできません。理由は魔王がいる世界には送還を邪神が邪魔して行うことがないためです。また、時間の流れは同じです』

「帰る為には魔王を倒さないとダメな訳だ、じゃあそろそろ魔王を倒しに行きますか」

『では、いまからあなたを魔王の所に送ります』

「頼む」

『ではご武運を』



 そして俺はまた光に包まれた。


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