ぱっとな。

浅倉

第1話…わたし



あなたはわたしのことをなんにもしらない。



この透明な板越しの会話だけで、わたしのことをわかっているつもりなのかしら。


もしもそうならあなたはとても滑稽だわ。


わたしが好きそうな同じような話ばかりをして、


誰かが書いた人物像をわたしに当て嵌めて、


他の女と同じように攻略しようとしているのかしら。


嗚呼、


なんて、



「なんて愚かで浅ましく、醜いのでしょう」



その手の内にわたしが入るとお思いか。


あなたはわたしのことをなんにもしらない。


おまえはわたしのことをなにもしらない。



おまえはしらない。



この顔の裏に巣食う、禍々しい闇の魔物を。

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