7

魔法使いを仲間に加えた

これまで戦士や格闘家など近距離でしか戦えなかったうちのパーティーに、ついに遠距離での攻撃手段を持つ仲間が加わった

これで冒険が捗ると思った


実際捗った

倒すべき敵を見つけたら魔法使いが遠距離から攻撃をしかけ近づく前に処理

旅は一気に安全なものになった


しかし一方で、これで本当に良いのだろうかという疑問も生まれた

あまりに楽になりすぎたのだ

魔法使いの攻撃力の高さも相まって、我々前衛職が全く戦いに参加できなくなってしまったのだ

これではいけない

戦いに参加できないと経験値が蓄積しない

レベルが上がらない

これでは旅が進んでも最後の魔王が倒せないではないか


漠然とみんなが同じことを思いつつも、でもこの楽な現状に誰も何も言えず、そのまま旅は続いた


そしてついにそのときはやってくる

ラストダンジョンの最奥、魔王の間にたどり着いてしまったのだ

当然我々のレベルは貧弱

到底魔王に太刀打ちできるはずはない

それでもついてしまったのだから仕方がなく、魔王との最後の会話ののち戦闘に入ってしまった


魔法使いが倒した

一撃で


考えてみれば妥当かもしれない

これまでのほとんどの戦闘、本来ならば全員で取り組み、経験値を分け合ったはずの戦闘を魔法使いは1人でこなしてきた

蓄えた経験値は膨大であっただろう

それこそ、魔王と1人でやりあえる程度には


こうして世界に平和が訪れた

めでたい

電源ボタンを探した

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る