SHOCK 1
紗紅side
3
――2016年1月――
「小遣いくんない?」
「
「あんなはした金、一瞬でなくなっちまうんだよ!早く金よこしなよ!」
あたしはダイニングテーブルの脚をガンッと蹴飛ばす。母は擦り切れた財布を握り締めたまま床に蹲り肩を振るわせた。
色褪せた安物の財布は、数年前の母の日にあたしが買った1,000円の品。まるで当てつけのように、母はその擦り切れた財布を未だに使用している。
あたしは貧乏な暮らしに、うんざりしていた。辛気臭い母の顔も母の涙もうんざりしていた。
「紗紅、いい加減にしなさい。お金をなんだと思ってるの?家は母子家庭なのよ。このお金は母さんが働いて稼いだ大切なお金なの。紗紅が夜遊びするために母さんが働いてるわけじゃない。私達を高校に通わせるために、必死で働いてくれているの。紗紅、わかってるの?」
成績優秀で優等生のお利口さん。
年子の姉、
「家族想いの優等生。貧乏なんか気にしないみたいな善人面して、あたしに説教なんてすんな!どこにいても美濃と比較され、あたしがどんなに惨めな思いでいんのかわかってんの?
『美濃ちゃんは優秀なのに』『美濃ちゃんは大人しくて真面目なのに』『美濃ちゃんは、』『美濃ちゃんは、』もう、そんな台詞はうんざりなんだよ!」
「紗紅、もうわかったから。母さんが悪かったわ。お金上げるから、美濃にあたらないで。いくら必要なの?」
色褪せた財布のファスナーを開け、ガサガサとお金を漁る母を美濃が制する。
「母さん!紗紅にお金を渡さないで。お金を渡すから紗紅が夜遊びするの。紗紅を甘やかせているのは母さんなのよ。そんな優しさ、紗紅には通用しないわ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます