第八話 光子と栞、仲たがい?

七月一日、木曜日の三・四時間目。

中学部一年一組は今回が一学期最後の家庭科の授業。その締めくくりとして調理実習が行われることに。先週まではエプロン製作をしていた。

クラスメイトたちの多くは、完成させたエプロンを身に着けている。

「今回は野菜炒めを作りますよ。各自にお任せしますので、出来ましたら持ってきて下さいね。梅雨の時期ですし、食中毒にはじゅうぶん気をつけて下さいね」

 家庭科担当の先生はそう申された。班分けも各自自由にということで、竹乃たち四人は同じ班になった。さっそく作業に取り掛かり始める。

「私、にんじんさん切るね」

 果歩は持参していた、刃先の丸まった子ども用包丁を手に持った。

「果歩、手を切らないように気をつけてな」

 竹乃はとても不安そうに果歩を眺める。

「たけちゃん。この包丁なら大丈夫だよ。おウチでいつも使ってるもん」

 果歩は左手でにんじんを押さえ、右手に包丁を持ってトントン切ってゆく。

「果歩、うちと違って上手やな」

「果歩ちゃん、切り方がとってもかわいらしいね」

「えへへ、ありがとう。私、ウサギさん型が一番得意なの」

「ワタシ、タマネギとピーマン切ったるな」

「しーちゃん、ピーマンはみじん切りにしてね。じゃなきゃ食べれないの」

「OK! ピーマンはワタシも苦手やねんよ」

 栞はゴーグルを身につけ、包丁を両手に持った。

「そりゃあああああああっ!」

 そして勢いよく振り下ろし、まな板目掛けて交互に刃先を激しく叩きつけた。

 野菜は生き物のように踊り出す。

「どや! これぞNANTA風。包丁は楽器代わりにもなるねん」

「栞、二刀流やな」

「しーちゃんかっこいい。でもなんか見てるこっちの方が、目が痛くなってきたよ」

「栞ちゃん、危ないからやめて。あとで床、ちゃんと掃除してね」

野菜炒めを完成させるとお皿に盛りつけ、果歩が先生に見せにいった。

「デリシャス! 安福さんたちの班、一番優秀ですよ」

 先生は果歩の頭をなでた。

「ありがとう先生。私、照れちゃうな」

 果歩の頬は、熟したトマトのように赤くなる。


「ちょっと、二星さん」

「なんよ?」

授業終了後、実習室から出ようとしたさい、栞は家庭科の先生に呼び止められた。

「あなた、エプロン未提出でしょう? もうとっくに提出期限過ぎてるわよ。何度も催促してるのに。今からでもいいから早めに提出しなさい。一組ではあとあなただけよ」

「分かってます、分かってます。やったけどね、家に忘れてきてんよ」

「分かりやすい嘘を付きなさんな」

 先生は呆れてため息をついた。

「なあ先生、この間お魚さんあげたやろ? その件について、点数加算してくれへんか?」

「それとこれとは話が全く別です。あともう一点。被服実習室のミシン、何台か糸絡ませたままに放置してたでしょ?」

「ああ、ワタシ、ミシン使うのめっちゃ苦手でさ、いつもいつの間にかああなってまうねんよ。あーもうしつこい、しつこい」

「キャッ、キャーッ!」

 栞は笑顔で誤魔化し、先生に蜘蛛の形をしたゴム製おもちゃを投げつけ走って逃げた。

「コレ! 二星さん、待ちなさい! もうっ! あの子ったら中学の時から全然態度が変わってないんだからっ……あら、このおもちゃ。なんか懐かしい……」


       ☆


 あれからちょうど一週間後の七月八日。

「やっと期末終わったぁーっ。ほんま長かったな。もう気分は夏休みや。中学生活最初やし、遊びまくるよーっ」

「この開放感が最高だね。結果は……考えないことにしよっと」

 竹乃と果歩は最後の教科、理科の試験が終わった後、近くに寄り添って喜びを分かち合う。

「ミツリン、この間借りとったマンガ返すわ」

 栞は光子の席に駆け寄り、カバンの中からそれを数冊取り出した。

「やっと持ってきてくれたのね。わたし、一ヶ月以上は待ってたのよ。言わなきゃ返してくれないんだから」

「すまんねえミツリン」

 光子は返してもらった本をパラパラめくった。

「あ、ちょっと栞ちゃん、このページ、すごい汚れてるじゃない」

「そこ、シュークリーム落としてんよ」

「もう! 大事に使ってねって言ったのに」

「古本屋でも買い取ってくれんかったしな」

 栞はケラケラ笑いながら打ち明ける。

「ちょっと! 古本屋で売ろうとしてたの? ひっどーい!」

「なんよ、ええやんか別に。また新しいの買ったら済むことやん。ミツリンち金持ちなんやし。なっ」

「そういう問題じゃないの。だいたい栞ちゃん物の使い方が悪いよ。もっと大事に扱わなきゃ。だらしがない。プリント類はすぐ無くすし、体操服も置きっぱなしにしてること多いでしょ。体育の授業の時、すごく汗臭いのよ、分かってるの?」

 光子はくどくど説教を続ける。

「あのさ、ミツリン。ワタシ、そうしつこく言われるとすんごい腹が立ってくるねんよ」

 栞は口をへの字に曲げた。

「あっ、そう。じゃあ物分りの悪い栞ちゃんにもっと言ってあげるね。ノート貸してあげた時もお醤油こぼしてたでしょ? わたしの教科書に落書きしたでしょ?」

「はいはいやりました。ごめんねーミツリン」

「なっ、なんでへらへら笑ってるの? 全然反省してないじゃない!」

光子はそう言い、いきなり立ち上がった。

そして、栞の頬をパシンッと思いっきり叩いたのだ。

 その直後、教室内は数秒間音が消えた。

外にいる、クマゼミの鳴き声だけが聞こえていた。

「……なっ、何すんねんよ!」

 栞は教室内の静寂を切り裂くように大声を張り上げた。光子を鋭い目つきで睨み付け、両手で思いっきり突き飛ばす。

「きゃっ!」

そのさい光子はバランスを崩し、イスの角に肘をぶつける。

「いったーい。栞ちゃんこそ何するの、栞ちゃんのアホッ!」

 光子は目に涙を浮かべながら栞に向かって罵声を上げ、逃げるように教室をあとにした。

「なんよ、あいつ」

 栞は教室の扉の方へ視線を向ける。

「あっ、あの、栞」

「しっ、しーちゃん……」

 果歩と光子は突然の出来事に、ただただ呆然とするだけだった。

「……」

栞は無言のまま教室から立ち去った。

「たっ、たけちゃん。きっとしーちゃん、みっちゃん呼び戻しに行ったんだよね?」

「そやろな。たぶん、謝りに行ったんとちゃう」

 果歩と竹乃は動揺していた。

「あの二人のケンカ、久々に見たよ」

 クラスメイトの一人が発した。

「なぁ、栞と光子って、これまでにもケンカしたことあるんか?」

 竹乃はその子に尋ねてみる。

「うん。小学校の頃はしょっちゅう、ほぼ毎月のようにしてたよ。でも、いつもケンカした翌朝には、何事も無かったかのように仲直りして一緒に登校して来るし、今回も大丈夫なんじゃないかな」

 そう聞かされ、果歩と竹乃はホッと胸をなでおろした。


          ☆


 翌朝。

「あれ? しーちゃんは、まだ来てないんだね」

「光子だけか」

 果歩と竹乃は登校してくるとすぐさま教室を見渡し、光子の席へ向かった。

「あっ! しーちゃん、肘のとこ、大丈夫?」

「うん。ちょっと血が出てただけだから」

光子の右肘には、大きめの絆創膏が貼られていた。

「なぁ光子、栞知らんか?」

「知らない!」

 光子はそう強く言い放つ。彼女はムスッとした表情をしていた。

朝のホームルームで、楞野先生から栞が欠席であることを告げられた。

「魚井さん、おウチ近いでしょう。これ、二星さんのおウチに届けてあげてね」

終わったあと、楞野先生は諸連絡の書かれたプリントを光子に手渡した。

「嫌です」

 光子は顔をプイッと横に向けた。

「あらあ、久々にケンカしちゃったのね。それじゃ先生が届けてあげる」

 楞野先生はにっこり微笑む。

「たけちゃん。しーちゃんとみっちゃん、まだ仲直りしてないみたいだね」

「うん。これは予想外やった。二人の亀裂は思った以上に深いな」

 果歩と竹乃は、とても気にかけていた。

 今日からは、授業は午前中で終わり。

帰りのホームルームが終わったあと、

「みっちゃん、一緒に帰ろう」

「光子、はやく栞と仲直りしてーな」

 果歩と竹乃は光子のもとへと駆け寄っていく。

「絶対嫌っ!」

「待ちや、光子」

 光子は振り切って逃げようとするも、竹乃にあっさり捕まえられてしまった。

「たっ、竹乃ちゃん、放してよう」

「なぁ光子、ほんまは、栞と仲直りしたいんとちゃうん?」

「そんなこと絶対無いもん!」

 光子は体を揺さぶりながら強く言い放つ。

「正直に言ってみい。お顔見たら分かるんよ」

 竹乃は光子のお顔をじっと見つめ続ける。

「……」

「光子、今すごい寂しそうな表情してはるで」

 それから、一分ほど沈黙状態が続いた。

「……たっ、竹乃ちゃん、わたし、わたしね……しっ、栞ちゃんと、仲直りが、仲直りがしたいよううううううう」

光子はついに打ち明けた。それと共に目から涙をぽろぽろ流し始めた。

「やっぱりな。今日朝会った時からなんとなく分かっとってん」

竹乃は抱きしめて慰めてあげる。

「みっちゃん、泣かないで」

果歩も頭を優しくなでであげた。

「それでわたし昨日ね、メールを送ったんだけど、返事が来なかったの。もう、わたし栞ちゃんに完全に嫌われちゃったのかな? 一昨日の晩には本を返すようにしつこく催促メールも送ったりなんかしたから……」

 泣きながら話す。

「みっちゃん、そんなことは絶対ないよ。確信出来る!」

「よしよし、うちがなんとかきっかけ作ったる!」


竹乃はおウチに帰り着くと、すぐさま松恵お母さんのいる駄菓子屋へ。

「ただいまーっ。母さん。今な、栞と光子、ケンカしてもとんよ。どないか仲直りさせたいねんけど、何かいい方法思いつかへん?」

「あらまぁ、あの二人が意外ね。それなら、いい方法があるわよ」

 松恵お母さんは笑顔でそう告げて、商品棚の奥の方を探し始めた。

何か、秘策でもあるのだろうか?


      ☆


 七月十日、土曜日。朝九時頃、栞のおウチの前。

(……押さなきゃ)

 光子は勇気を振り絞って、インターホンを鳴らした。

「はーい」

 数秒後、応答したのは、栞のママだった。

「あのう、栞ちゃんはいらっしゃいますでしょうか?」

「あら、光子ちゃんじゃない。おはよう。ごめんなさいね、今栞ね、留守にしてるの。明石の方へ行くって言ってたよ。高校野球の兵庫大会でも見に行ったのかしらね。昨日も学校サボって行ってたみたいだし。あの子ったら……」

「そうですか……」

 光子は残念に思いながらも安心した気分にもなっていた。このあと徒歩で竹乃のおウチへ向かった。

 辿り着いて、竹乃に出会うと、

「おはよう、竹乃ちゃん」

 光子は俯き加減で挨拶する。

「おはよ光子。大丈夫か? 元気なさそうやな」

「わたし、さっき栞ちゃんのおウチ行ってみたんだけど、明石の方へ行ってるって言われて。それでわたし、仲直りするのはべつに明日でもいいかなって思ったの」

「あかんあかん、すぐにせな。ますます亀裂が深まっちゃうよ。今から行こう! うちもついてったるから」

 竹乃は光子の両肩をポンッと押さえて勇気付けた。

「あっ、ありがとう竹乃ちゃん、明石といえば、思い当たるスポットがあるの」

 果歩も誘って、三人で明石へと向かう。

新快速の車内で、こんな打ち合わせをし始めた。

「竹乃ちゃん、これで本当にうまくいくのかな?」

「ノープロブレム。母さんのお墨付きやし。爺ちゃんも子どもの頃、友達と大ゲンカした時はいつもこいつで激しく戦い合ってあっさり仲直りしていたぞって言ってたよ」

 竹乃のカバンには、ある玩具が入っていた。昨日松恵お母さんが探してくれたものだ。

「でもそれって、男の子の遊びだよね?」

「光子、そんなの関係ないって、うちら四人は昔遊び同好会の仲間やん」

「百パー仲直りできるよ、みっちゃん」

 竹乃と果歩は、光子の両手を握りしめて励ました。

「ありがとう。わたし、頑張ってみるっ!」

 光子は真剣な眼差しで宣言した。


 三ノ宮駅を出発した新快速電車は、約十五分で明石駅に到着した。降りた三人は駅北側に広がる明石公園へと突き進む。目下、甲子園出場をかけた高校球児たちによる熱戦が繰り広げられている第一野球場の前を通り過ぎ、さらに二、三分歩いた所にあるボート乗り場へやって来た。休日ということもあり、多くの家族連れなどで賑わっていた。

「栞ちゃんは、たぶんここにいると思うの。栞ちゃんは、昔から落ち込んだ時とかにボートに乗り込んで過ごす癖があったから」

 光子はこう推測した。

「そうなんだ。しーちゃんはボート好きなんだね」

「そういや、そんなこと言うてたような……栞のやつは、どこにおるんかな?」

 竹乃は眩しいのかおでこに手を当てて、池の周りをぐるりと見渡す。

「あっ、光子の予想通りほんまにおった! 寝転がって本読んどるし」

 遠くの方を指で差し示した。

「私にも見えたよ。しーちゃん気持ち良さそうだ」

「あ、ほんとだ。よく裸眼で見えるね。さすが2.0と1.5」

 光子はバードウォッチング用の双眼鏡を使って眺めた。

 三人もボートを借りて、栞のいる所へ近づいていく。

「おーい、栞」

「しーちゃん、来たよ」

「ん?」

 果歩と竹乃の呼びかけに、栞はすぐさま気づき、立ち上がった。

「なっ、なんでこの場所が分かったん?」

 栞は驚いているような素振りを見せる。

「!」

 光子の姿を目にすると、反射的に顔をプイッと横に向けた。

「栞、聞いてや。光子はな、栞と長年友達やっとうから、栞がここにおることがすぐに分かったんやと思うねん」

「あっ、あんなやつ、もう友達やないわっ!」

 栞は冷たく言い放った。光子の目はうるむ。

竹乃はさらにボートを近づけた。今、三人の乗ったボートと、栞の乗ったボートとの距離は十センチ足らず、もうほとんど引っ付いているような感じ。

「栞、今から光子をそっちにやる!」

「なっ、何言うとうねんタケノン、いらんって」

「えい!」

「キャッ、たっ、竹乃ちゃん」

 竹乃は光子を抱きかかえた。そして栞側のボートの上にそっと下ろした。

「これもどうぞ」

 果歩は、竹乃が持参した例の物を二つ、そちらへ投げ入れた。

「そんじゃごゆっくり。呉越同舟やな」

「頑張れ、しーちゃん、みっちゃん」

 竹乃と果歩は急いでボートを操縦し、岸へと戻る。


栞と光子が乗っているボートの上。

「……おい、何やねん? せっかくくつろいどったのに」

 栞は光子と目を合わさないよう、顔を横に向けたまま強く言い放った。

 光子はびくびく震えている。怖がっているのだ。栞のことを。

「しっ、栞ちゃん。わたし、びっくりしたの。栞ちゃんがあんなに怒ると思わなかったから。それでわたし、思わずひどいこと言っちゃって」

 光子は顔をこわばらせながらそう言って〝竹製水鉄砲〟を右手に持った。そしてすぐさま左手で綿のついた竹棒を押して、栞の顔面を目掛けて撃ったのだ。

(これで、ほんとにいいんだよね? 竹乃ちゃん)

「なっ、何すんやコラッ!」

 水は、左頬の辺りに命中した。

(まっ、ますます怒らせちゃった? なっ、殴りかかってきたらどうしよう)

「栞ちゃん、ごめんなさい。あの時いきなり引っ叩いたりして」

 光子は水鉄砲を持ちながら謝る。

「……もうええんよ、そんなこと。それより何やその撃ち方、全然なってへんやんか」

 すると栞はくすっと笑い出したのだ。彼女も対抗して竹製水鉄砲を手に持った。

「そーれ! これくらい勢いよく押さな、全然飛ばへんやろ!」

「きゃっ、やったな栞ちゃん」

お互い撃ち合いが始まった。

顔面に勢いよくかけられた光子は撃ち返す。光子の表情も一気にほころんだ。

中の水がなくなると池のお水を入れて、さらに二人は撃ち合いを続ける。

「おう、なかなかええ戦いっぷりや。球場の熱戦とは対照的に、涼しい戦いが繰り広げられとうな」

「みっちゃんとしーちゃん、うまく仲直り出来たみたいだね」

 岸から眺めていた竹乃と果歩はホッと一安心。

それから五分ほどして、二人の乗ったボートも岸へ戻って来た。

「めちゃくちゃ楽しかったーっ。小学生の頃に戻れたみたいで。気分爽快や!」

「服びしょびしょだよ。日差し強いからすぐ乾くと思うけど」

 二人は仲良くおしゃべりしながらボートから降りた。

「ミツリン、じつはさ、期末最終日の前の晩にな、家庭科の先生がワタシんちに電話かけてきてん。そんで折り悪くママが出てもうてな、そのあとものすごい叱られたんよ。そんであの日はワタシ、朝からめっちゃイライラしとってん」

「そっ、そんなことがあったんだ……ごめんね栞ちゃん、わたし、そんなこと知らずにいろいろ口を酸っぱくして言ったりしちゃって」

「いやいや、その原因作ったんはワタシやし。全部ワタシが悪かったんよ。ミツリンはなんも謝ることなんてないねん。肘怪我させてゴメンな、ミツリン」

「しっ、栞ちゃん……」

栞と光子はがっちり抱き合った。仲直りの証を、明石の地で示したのだ。

「これにて一件落着やな。うち、ほんま心配してたんよ」

「しーちゃんとみっちゃん、もうケンカしちゃダメだよ。はいあーん」

 果歩はそう言って、二人のお口にキャラメルを押し込んだ。

「分かったよカホミン。そういやワタシとミツリンって、よう考えてみたらすごいしょうもないことでケンカすること多いよな」

「そうだね」

 栞と光子はクチャクチャ美味しそうに噛みながら、照れくさそうに言い交わす。

「ところで果歩ちゃんと竹乃ちゃんは、お互いケンカしたことってありますか?」

「ワタシもそれ気になるわ。想像はつかんけど」

「うーん、ないかなぁ……あっ、一つ思い出した! 幼稚園の頃エ○モのぬいぐるみ、たけちゃんと取り合いになったことがあったね。ケンカって言えるかどうかは微妙だけど」

「そういやあったなそんなこと。うちも今思い出したよ。首がもげてもて先生にものすごく叱られたよな」

 果歩と竹乃は笑いながら楽しそうに会話を弾ませた。

四人はこのあと、近くにある天文科学館へ立ち寄って、プラネタリウムを眺めて明石をあとにしたのであった。

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