第146話 異端の牢獄
ゆっくりと歩きながら一見自由に出歩いている囚人を見ながら指定されたZブロックを目指す。自由時間なのか、ランニングや機具を使ったウエイトトレーニング、バスケやギャンブルに興じる者と様々だった。
(なんか建物は全然違うけど海外ドラマのワンシーンみたいなとこだな……いつも思うけど、イマイチピンとこない世界観してるな)
数分歩いて把握したことは区分けはA~Fまで存在し、アルファベットがAに行くほど執行官や執行者の制服が青の割合が多く、Fに行くほど緑の割合が増えている。中央付近はなぜか疎らで人が立ち入らない。
(なんか気まずいし回ってこ、ってかZは死刑囚専用か?)
アキラもなんとなしにそれに倣って迂回、暫くして指定ブロックに到着する。途中で声を掛けられることも無ければ、絡む者もいない。そして流れる穏やかな空気は本当にここが刑務所のような場所なのかと訝しむ程だった。
(なんか、飯以外で久しぶりにゆったりしてる気がする)
A~Fのブロックを越えると存在するZブロックには赤い服を着た執行官のみが常駐していた。その執行官がアキラに気づいて声を掛ける。
「止まれ、自分の番号は言えるか?」
「は? Z……2036? え、なんで把握してないんだよ」
「どうせ時間になれば全員帰ってくるんだ。お前らは適当でいいんだよ、どうせこっちの仕事は長く続かないんだからな。それより2036なら2階へ行け、そこの3番牢がお前の場所だ」
「はぁ」
気の抜けた声音で返し、顎で示された階段に言われた通り昇る。殆どの1階の牢屋は空いていて、とても死刑囚専用と思しきZブロックだとは思えなかった。
(ん? なんか雰囲気が……)
2階に近づくにつれて感じ取った気配、それはカラッとした天気とは正反対にどんよりと湿気でも感じそうなものだった。いや、実際にはジメッとしている。
「くっそ……くっそ、帰りたい、帰り――」
「もう、いやだ。俺は戦いたくねぇよ……ぅう――」
「おい、3階の連中はもう残り少ないから入れ替え時だなって赤犬が――」
「5番と6番はこの前入れ替えたばっか――」
「離せよ! どうせ死ぬんだから病気の治療なんて――」
(なんだ? ここは俺の知識だけ知ってる刑務所とは何か違うのか?)
アキラは戸惑い、耳で集めた情報を拾いつつ言われた3番牢に到着した。格子の扉は中途半端に空いているため、静かに押し開く。
「お? 見ない顔だな?」
「新入りか」
「新入りかってお前だって入ったばかりだろうが」
「1秒でも先に居れば先輩なのさ」
(ここは他と違うな?)
アキラは6基のベッドが並ぶ、案外広い牢に入りながら見渡す。中に居るのは今喋った3人と寝ている1人だけ、それを把握すると綺麗に整えられた1つのベッドを目指して挨拶をする。
「どうも」
「よろしく、1人は今出てるけど新入りはその綺麗なベッドを使ってくれ」
「わかった」
「もうすぐ飯だから時間になれば食えるぞ新入り」
「だからお前も新入りみたいなもんだろ」
「もう先輩だから」
「調子良い奴」
全員気にした風も無くアキラを受け入れた。
(お、俺の知ってるのと本当に違う……)
牢屋のボスに絡まれたり、新入りは飯抜きにされたり、寝床を貰えなかったり、格付けのように暴力を振るわれたり、集団で睨みつけられたりと色々で想像していたアキラだったが肩すかしを食らう。
「……疲れたから横になってもいいか?」
「おう、飯の時間になったら強制的に起こされるからその前に起こしてやるよ」
「あ、ああ。頼んだ」
あまりにも想定と掛け離れた待遇に、安堵と怪しさ、そしてとある不安を綯い交ぜにした複雑な思いで床につく。
(はぁ……そういえばベッドで寝るのも何ヶ月ぶりかな)
ダンジョンで数ヶ月過ごし、刀を使った相手に練習がてら力を試し、帰りに遭遇した出来事から翠火達が死ぬかもしれない情報を得てノートリアスモンスターへと突っ走り、命懸けで勝ったと思えば気がつけばデフテロスという理外の存在との邂逅。濃密な時間を思い返しながら、実感の無い処刑宣告を忘れて意識が朦朧とし始める。寝る前にやらなければならないことが多々ある中、それに手が回らない程アキラは疲弊していた。
(翠火さん達、大丈夫、だった……よな、会いたいな……ナシロ、メラニー………………俺は……俺だよな? 大丈、夫だよ……な…………)
「……ん」
寝ていたアキラは不意に感じた空気の流れの変化で意識が覚醒し始める。頭が働かない朧気な状態で起き上がろうとした筈だった。
「え、なんで俺座ってんだ?」
「それは私が招いたからです」
「……え?」
「お久しぶりですね」
「久しぶり……だな。ここは三世界か?」
「はい、と言っても今回は貴方の
そこにいたのはクリーム色の綺麗な髪に薄い茶褐色の肌、フェイスベールで口元を隠し、慈母の微笑みのような柔らかな目元を携えた予言師だった。
「改めて生還おめでとうございます」
「あ、ああ」
「では軽く貴方の過去を見させていただきますね。一体何があったのかを」
「そう、だな。俺も気になってたんだ」
「では参ります」
占い用のテーブルには青い絨毯しか敷かれていない。だが予言師が指を鳴らすと途端にテーブルの上のタロットカードがはじけ飛ぶ。
「うぉっ」
「では覗かせていただきましょう」
だが弾けても1枚たりとも落ちたりはしない。表裏関係なくカードを纏めると手慣れた手付きでカードを扇状に広げた。そこには表のカードは存在せず、全てが裏表示になっている。
「マジックかよ」
「では1枚、お取りください」
「じゃこれを」
左から2番目のカードを選択し、予言師は残りのカードを纏めて脇にどける。
「これだけでいいのか?」
「貴方が
「……死? え、俺生きてるけど?」
「あぁ、貴方は凶悪なノートリアスモンスターを屠った後、意識を失いドラゴニュートに止めを刺されて死亡しました。今生きている理由はこれからわかることでしょう」
「わっけわかんねぇ……」
アキラが選んだ1枚をひらりと表に返す。そこに描かれたのは真っ白な1枚だった。
「貴方は死に、その
だが予言師には何かが見えているようで、白紙のカードを見つめながら語り始める。そして薄らとカードに色がつき始めた。
「そして越えられない筈の試練を課された」
「そうだな」
「そして貴方はその試練を越えることが出来なかった」
「……そうだ、奴は俺の意思さえも壊し、た」
「そうですね、諦める意思すら選択に挙がらないのは想定外でした……ですが、それでも諦めない存在は居たようですね」
「俺の他に誰か居たのか?」
「ええ、そこに」
アキラの胸を指して予言師は頷く。
「シヴァとヴィシュ? でも、俺には身体が無くて……こいつらを出すなんて考えも壊されていた」
「ですが、運命の紡いだ跡には魂だけの存在になり、消え失せようとする貴方をその子達が守った姿が見えます」
カードに薄らと模様が浮かぶ。アキラはそれを見ずに胸に手を当て、何かを堪えるように握り締めた。
「……本当に恐ろしかった。怖いと思うことも出来なくなった感情だけは、ずっと胸にこびり付いてた。狂ってもおかしくない、いや狂ってないのがおかしい……でも、それでも目が覚めてから俺は俺のままでいられた。自分が狂っていたなんて記憶があるのにも関わらずだ」
「お察しします」
「理由が、わからなかったんだ。何度も修練で死んで、心が削られてもそれでも何度も何度も奮い立たせて強くなる。だけど結局はそれ以上の力に押し潰されて……挙げ句の果てに死が救いに感じると思うほど俺は正常な判断が出来なくなっていた。そうだ、その筈なのに目が覚めたら狂わず正常に“まるで何事も無かったかのようにいつも通りに動けた”」
「さぞお辛かったでしょう」
「……だから、思ったんだ。俺は自分の真っ当な感覚、感情さえも壊れてしまったんじゃ無いかって、でもそんなの認めたくなくて……」
「貴方の中にある2つの魂が、貴方が貴方であるように寄り添い守り続けていたんです」
「それを、聞いて、納得した。ありがとう……ありがとう」
アキラその瞳からまた拭えぬ涙を零す。そして自身の中に居るであろうシヴァとヴィシュに感謝を捧げた。彼はデフテロスの言うように偉人でも救世主でも、ましてや英雄でもない。何度も何度も涙を流し、そして今も涙を流せている正常な人間だ。自分を壊されたと知り、この短い時間理由も無しに元に戻ったと思えるほど楽観的にはなれず、表面だけはいつも通りに振る舞えてしまう。それがどれだけ恐ろしいことか、自分で判断しているのにまるで物語を読んでいるような、自分が自分でない空虚な錯覚がついて回っていた。
「処刑されるって言われてもその理不尽に対してキレるだけ……どこか遠くに感じてたんだ」
「では、今はどうですか?」
「はは、ははは――出来るもんならしてみやがれっ! て感じかな」
軽く首を傾け、目を細める予言師の上品な笑顔に癒やされる。そして持っていたカードにも絵柄が完全に映し出された。
「だから聞かせてくれ、その
「運命の正位置ですね。貴方の過去は現在に帰結し、未来へとその歩を進めました。その未来は絶望に彩られています」
「……」
「ですがそれは一面を現しているに過ぎません。一見絶望にしか見えなくとも見方を変えればそれは大きな希望の光にもなるのです」
「希望の光?」
一週間後に迫る処刑が絶望、しかしどう見方を変えれば希望へと変わるのかがアキラにはわからない。
「はい、貴方から見れば時の流れは処刑されるまで刻一刻と刻まれるだけです」
「そりゃな」
「そう、
「ん? どういうことだ?」
「これ以上具体的には申し上げられません」
「……だったな」
相変わらずの予言らしい予言に諦めたように返す。
「私から言えること多くありませんが、貴方は一人ではない。と言うことです」
「こんな牢獄でか?」
「はい」
「つってもな……まだ
今までと違って囚われた状態なのでやれることがあまりにもない。力を付けるには時間が足りず、一人ではないと言っても知り合いなんて当然いないだろう。予言の内容に困り、唸るアキラに予言師は続けた。
「私の視た先では貴方は一人ではありませんでした。ならば、例え牢の中と言えど出来ることはあるはずです」
「随分突っ込んだ言い方するな? 言えないんじゃなかったのか?」
「今回は牢の中というとても限定された空間です。これは貴方がいずれ死ぬという未来を告げても変わらないのと同じで不変の物ですので問題ありません」
「あぁ……だから死に関しては断言出来ちゃう訳ね」
「はい」
「なら引きこもってないで動いてみるか」
「良い方に傾けばいいですね。それにこの処刑についてはあまり考えなくてもいいように思います」
「え、なんでよ」
「いえいえ個人的にそう思っただけですのでお気になさらず」
優しく笑う予言師にアキラも口角を若干上げながら自信満々に言う。
「まぁ絶対乗り越えてみせるからいいや、それで終わりなのか?」
「いえ、貴方が処刑されればそのまま人の生を終えるでしょう。ですが、もしそれを越えることが出来たなら心してください」
「まだ、なんかあるのか?」
「貴方に直接ではありませんが、乗り越えた先にとある悲劇が起こります」
「どんな悲劇か教えられるのか?」
「申し訳ありませんが私にもこの光景は
「その悲劇は回避出来ないのか?」
「不可能です」
「そっ……か、あ! それと気になってたんだけど、どうして俺はこの罪都? って所に居るんだ?」
それは今回の出来事とでも言うべき原因だった。
「貴方の過去を視た私でも細かいことは不明です。デフテロスから身を守って以降、相手の姿形は現れず状況だけが動き、気がつけば貴方は解放されていました。ただ、ノートリアスモンスターの居た世界は消えていたため近場の執行官の元へと送り届けられたのでしょう」
「それがなんでこんな……」
「デフテロス曰く、貴方は最悪な巡り合わせを持つ運の持ち主です。その貴方を確保した者は今回の件を把握、またはそれに関わる者に見つかり、その責任を押しつけるのに都合が良いと思われたのでしょう」
「いつも通りついてないな」
「ですがいつも通り悪いことばかりではありません。真に最悪な運と言ってもその分貴方には様々な出会いとして返ってきているのです」
「まぁ……全部が全部って訳じゃない気もするけど」
今ひとつ釈然としないアキラを置いて予言師は優しく微笑む。
「貴方の出会いに何一つ意味の無い存在は関わっていません。どれ程意味の無いと思えるだろう出会いがあったとしても、それはまだ結果が出ていないだけです。良い意味でも悪い意味でも」
「なんか占い師っぽいな」
「これも予言の1つです」
少し得意げに笑う予言師にアキラは、回答に納得はせずとも理解した。そして今自身がやるべき覚悟を固める。
(俺は絶対に帰ってみせる。……俺が俺であるために)
二度と自分を失うような経験をしてはならないと心に決め、予言の内容を参考にこの牢獄から脱出するため起きたら早速行動を起こすぞと決意した。
(ん……まだ日が落ちてない? でもなんか身体が凄く凝り固まってる感じがするな)
気がつけば影から薄らと差す光にそんな判断を下す。
「お、起きたか新入り」
「あぁ、あんまり眠れなかったけど」
改めて自身の疲れをアキラは自覚する。自身の感覚で先程話した筈の相手を今初めてしっかりと認識したからだ。
「にしてもよく寝てたな? そんなにリラックスしてる
「……?」
金髪で細身だが鍛え抜かれた体躯をした優男のヒューマンが気軽に話しかけてくる。眠気でぼんやりした視界で顔は見えないが、状況を把握するだけなら問題なかった。
「おいおい、まだ寝ぼけてるのか? まぁ無理もないか、
「――っ本当か!?」
だがその状況が思った以上に逼迫してると知るや否や冷や水を浴びせかけられたかのように目が覚め、話し相手の碧眼と目が合う。
「ん? あ、ああ、飯の時間に何度も揺すったり声を掛けたんだが起きる様子がなくて放置したんだ。最初は処刑前に死んだみたいだな、なんて皆も冗談言ってたんだが寝息だけは大きいし仕方がないからそのままにしてたんだよ」
「そのままって……ここは監獄だろ? 囚人にそんな自由が許されるのか?」
「自由?
「え、それもそうだけど点呼とかもないのか?」
「まぁ、担当の執行者が毎日顔を見回る程度はするけど、これがあるのにそんなの必要か?」
そういって自身の首輪を親指で指す。
(これってGPSみたいな機能も付いてるのか……)
「流石に寝ている奴の飯は残ってないぞ、赤犬が片付けちまった」
「赤犬?」
「下っ端の青丸、権力に近い者に尻尾を振る赤犬、その尻尾の後を負う子供で嬰児と書いて緑子だ」
「へぇじゃぁその赤犬が飯を片付けた訳か」
「あぁ」
「起きなかった俺が悪いんだからまぁいっか、それよりまだ聞いてもいいか?」
「暇だしいいぞ、ドエルだ」
「俺はアキラ」
「よろしく」
「こちらこそ」
互いに自己紹介をしてドエルがアキラと向かい合う形で隣の空いたベッドに腰掛ける。
「なんだ聞きたいことって?」
「んー俺はここがどういう所か全く知らないんだ。だから気を悪くしないで欲しいんだけど、どうしてそこまであんた達は友好的なんだ?」
「どうしてって、本当に何も知らないのか?」
「気がついたらこんな場所に居た位だからな」
「そうか、お気の毒に……まぁ立場は変わらないがな。
「まぁ大体は」
「よし、お察しの通りこのZ牢は死刑囚が集められる」
「ああ」
「そして刑の執行までただ牢でゆっくりする……訳じゃ無いんだ」
「そういやスポーツや運動してたり、ギャンブルとかもしてたな」
ドエルは同意しつつ移動し、アキラを牢の入口へ手招きする。
「あれを見てみろ。さっきはF牢の奴らだったな」
「……なんかちょっと黒っぽく汚れてるな、昨日通った時は綺麗だったのに」
「あれは全部血の跡だ」
「は?」
「血が混じり合って出来た跡だ」
「それだけ聞くと友好的な意味が尚更わかんないな」
「別に囚人同士が戦ってる訳じゃ無い。
「……え、なんで?」
「そりゃ罪から逃れるためだ。まぁ今重要なのはそこじゃない、今までを踏まえてお前の質問の答えが出るわけだ」
アキラは魔物と戦う、友好的に接すること、罪が許される。これらから大凡の理由に察しが付いた。
「魔物と戦う時は必ずチームになるんだよ」
やっぱり、それがアキラの感想だった。
「そしてそれが友好的な理由だ。強制だがチームを組むのに不和を招くような奴は
「なるほど」
友好的な理由がしっかりと存在したため安心したアキラだが、話を聞いていて過ぎった最悪な想像について問う。
「理由はわかった。魔物と戦うってことだが、もしかして俺ら死刑囚にもそれがあるのか?」
「当たり前だろ? 例外は無い」
「まさかA~Fって」
「罪の軽さと戦わされる魔物の強さが比例してる」
「じゃぁZは……」
「ここで一番強い魔物がその相手になる」
「一週間後……いや6日後か、俺は処刑される身なんだが」
「ぅげ……マジかよ、遂に
「俺を、責めないのか?」
予想に反してドエルの反応は観念したかのような物腰だったため問わずにはいられない。
「ないない、俺らの牢に使える奴が立て続けに
「でも6日乗り越えれば俺は居なくなる。そしたら――」
「違う、そうじゃない。“罪都の死刑囚に刑は執行されない”」
「どういう……?」
「わからないか? この意味が」
「まさか……処刑前に死ぬ、からか?」
「正解だ。刑の執行日が一番近い奴が居るチームはその近さに応じて強い魔物が用意される。ってことは処刑前日まで行くと……ってことだ。まぁ、俺らは生き延びすぎたんだ」
「……」
「気にすることは無い。来たる日が遂に来たってだけだ。それに今のはこの罪都の決まり文句みたいなもんで、実際には過去数回だが処刑は執行されている。……まぁそういう奴等は例外なくその処刑でも死んでないんだがな。だから俺ら6人は後6日以内に全員――」
ジリリリリリリリッ!
『今日はお待ちかね! Z牢の戦いだよ! フロア2の3番牢は急いで準備してね! 因みに今日から6日間毎日3番牢の戦いが見れるから楽しみにしててね!』
突如響く目覚まし時計のような騒音、そして今までと質の違うおちゃらけた雰囲気のアナウンスに、アキラは薄気味悪いものを感じた。
「っかぁ~そろそろ出番だと思ってたんだよ! ってか6日間ってどういうことだよ、誰か処刑されるのか?」
「あいつら待たなくていいのか?」
「先に外出てたから待ってるだろうよ」
ベッドで寛いでいたらしき他の2人も文句を言いながら牢から出て行く。
「さぁ、出番みたいだから行こうぜ?」
「ふぅ、俺は起きたばっかりなんだけどな」
アキラは自分のせいで他の人が実質的な処刑を迎える責任を感じていた。相手は死刑囚だがどんな罪を犯したのか全くもって知らない。それでもドエルの言葉の続きは聞かなくてもわかるため、そのまま後を追いかける。
【Zフロア2の3番牢】
6人全員処刑まで――
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――残り6日
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