第59話晩餐 8

え?ここ?


部屋の作りは、皆同じはずなのに・・・・。

室内に何があるんだ?

飼っているペットの名前だったのか?



マリアはドアノブに手をかけると、



「アリスは中に居るわ。会わせてあげる」


そう言い、ゆっくり扉を開いた。

その先にある物を見た時、俺は絶句したー・・・・・・。

そこにあったのは、ガラスケースに入った、人型の何かだったから。




アレは、何? 本物の人間な の か ?




「これが、アリス。私の大切な妹よ」


マリアは、ガラスケースの前まで歩くと、それに手を伸ばした。



大切な妹って事は・・・・人間か・・・。

でも、きっと、生きていない。

死んだ人間だろう。

だって、ガラスケースの中には、水らしき物が入っている。

普通の人間なら、水の中で、呼吸は出来ない。

という事は、死んでいるって事だ。


じゃあ、何故死んでいるにも関わらず、腐敗が進んでいないのだろう?

まるで、水の中で眠っているようにも見える。



何も言えずにいる俺に、


「驚いた?いいのよ。変人扱いしても。

私には大切な人なの。この子の為なら、変な目で見られたって構わないわ」


そう言ったマリアの姿が、無表情なのだけれど、とても悲しそうに見えて、



「全然変じゃない!いいじゃん!素敵だよ!

俺も、アリス好き!大好き!」


訳のわかんないフォローをしてしまった。

マリアに悲しい思いを、させたくない一心で言ったのだけれど・・・・、



「ありがとう、涼、いつもフォローしてくれて」


少しだけ、マリアが微笑んだ・・・気がした。

気のせいだったのかも、知れないけれど、

俺の気持ちが、届いたように思えたのだ。


お礼のつもりで、俺も、ギコチナイ笑顔を、マリアに向ける。


二人で、ぶっきらぼうに笑いあった。



全然変じゃない。

羨ましいよ。


大切な人が居る、マリアが。

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