第15話 サランラップって

「あのさ…ドンキ行かね?」

「いいけど…俺も靴下欲しかったし」


 入るとすぐにはぐれた…はぐれメタル並にすぐ消えるな…。


 下着…肌着…靴下…ジュース3本…でいいや。

『通』が見当たらないので、会計を済ませた。

 店内を探すこと数分…見当たらないわけだ。

 さっきまでハゲたままだったのに…今は帽子を被ってやがる。

 なぜドンキに限り、帽子を装着したのだろうか…どうでもいいが…。


「おい、また何か買うのか?」

「おう! サランラップが安いんだ」

「へぇ………ソレ何本買うの?」

「何本かな?バランス良く買いたいんだよ…」

「バランス?って…なんの?」

「いや…俺が買うと、箱の中がスカスカになるじゃん…だから」

「えっ?意味が解らない…」

「だから! こう買うと、ここが空になるでしょ、そうすると次の人が、こう取らなくちゃならないわけ、だからバランス良く買わないと…」

「へぇ…」

(ヤバい…何言ってるかさっぱり理解できない…)

「こんなもんか…」

「お前…サランラップ9本とアルミホイル6本…ビニールラップ2つ…そんなに買うの?要るの?」

「サランラップすぐ無くなるよ…ホント」

「そんなに無くなるか?サランラップ?」


「あっ! 桜雪コレ何?」

「ちっこい音楽プレーヤーだね」

「500円だって…買おうかな?」

「お前、さっきコンポ買ったでしょ」

「コンポは持ち歩けないんだぞ、コレ持ち歩けるよ」

「そうだけど、オマエ、ソレ必要なほど音楽聴かないでしょ」

「いや…俺、音にうるさいよ」

「音に拘る奴はソレ選ばねぇよ」

「いや…コレ買うわ」

「うん…まぁ好きにしろ…」

「桜雪! コレ買おう、腰痛が治るんだって」

「治らねぇよ…ソレ車に乗るときに楽ですってヤツだろ…たぶん楽じゃねぇし」

「いや…コレ要るぞ、オマエも買えよ」

「うん…要らない」

「桜雪! 最近良く眠れてる?安眠まくらだって、俺、最近クビ痛くてさ、枕が悪いんじゃないかって…コレ良さそうだわ」

「うん…買えば」


 5歩歩くと、何かに興味を持って、買ったり買わなかったり…。

「コレどう思う?七味ふりかけだって、美味いのかな?」

「お前、辛いのダメじゃん…どうでもいいけどね」

「特売品だし買うわ」

「もう何でも買えないい…アレどうだ?流しそうめんキットだって」

「えっ?でもな~小さくない?いやコッチのは立体的に流れて来るらしいぞ、ウォータースライダーみたいだ、コレも買っとけ」

「いや…それは要らんわ…」


 その後もアイスだのなんだのと買いまくり…気づけば2時間ドンキを彷徨っている。


「いや~今日は、買い物したわ」

「そうだな…」

「さっそく…試してみるわ…腰痛にいいコレ」

「おい…それは腰に当てるんだ…尻に敷いちゃダメだ…」

「そうか…こうか?」

「どうだ?」

「桜雪…コレ返品頼むわ…全然良くない…痛くねぇ…」

「痛くないなら良かったんじゃねぇか?」

「ん…そうゆうものか…じゃあいいや」

「アイス食おう」

「あっ…桜雪、コレ返品…溶けてる」

「無理だろ…半分食っちゃったし…」

「なにコレ…美味くない…チョコが奥歯にくっ付くんだよ」

「しらねぇよ…」


「なんか無駄遣いした気がするわ…」

「何が無駄だったんだ?」

「まずはコレこの腰痛に効くってヤツ」

「いや…サランラップじゃねぇかな…9本って…業者買いだろ」

「いやいや…ウチのかあちゃん、これくらいすぐ使うぜ、なんでもラップするもん」

「うん…なんでもいっぱい作るんだな」

「まぁね…なんでも鍋でいっぱい作るからね」

(計画性の無さは遺伝なんだな)

「ソレ…ダイエット目的での購入だと思われてるよね絶対」

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