第93話謎解き


「コロンブスはどうやって卵を立てたか知っているかな?」


大学生は、壇上の木村太郎の話に聞き入っている。


1卵を軽く割って立てる。

2小さな穴を開けて中身を取り出す。

3は今度の授業までの宿題とする。



木村太郎は、母校の大学で講義を任されていた。


教養というカテゴリーで。

簡単に言えば自由授業だ。


久しぶりに人前で話したので警察署の仮眠室に直行した。


扉を開けると春男と知らないおじいさんがトランプをしていた。


「このじいさん、家が分からないんだと。」


「それにしてはトランプ強いんだね。」


「あー!また負けた。神経衰弱だぜ。」


「名前も分からないの?」


「らしいぜ。こういう仕事は生活安全科の仕事なのによ。」


初老の紳士的な人物だった。


「ジェントルマン、本当に自分の家分からないの?」


「はい。困りましたね。」


「じゃあ、コロンブスの卵のたて方分かる?」


「えっと、ゆで玉子にしてから少し割って立てる感じですか?」


「正解ですね。」



大学の講義に太郎は向かった。


だまごのたて方の正解を出した。


「玉子を茹でてそれから立てないで寝転がして側面を割る。」


大学生達は、納得してる者、納得してない者がいた。



講義が終わり太郎は仮眠室に入った。


おじいさんは今だに仮眠室で寝泊まりしている。


「おい、あのじいさんどうするつもりだよ?」


春男は小声で太郎に聞いた。


「うーん、ここに住んでもらう。」


「マジかよ?」


「うん。」



「色々あるんだよ。家庭内で虐待とかさ老人ホームで虐待とかね。」


「だから、ボケたふりしてるのか?」


「たぶんね。」


名無しさんには佐藤さんという名前を

つけた。

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