Duty~生きる為に~
@teas09
第1話
遠くで烏の鳴き声がする。
まだ外は薄暗く
上着が無ければ震えてしまう
空はぼんやりと青を出していて
朝日との境目は紫がかっている
夜型の生活を送っている私は
真夜中に吸い切った煙草の空き箱を握りしめ
コートのポケットには460円のみ持ち
近くの自販機へとトボトボ歩いている
風がボサボサの髪を撫でると、頬に擽ったく毛先が触れる。
真っ直ぐに何本も並ぶ電信柱は、立ち止まり見上げると、まるで大きな怪物の様に見えてたまに怖くなる。
自分の小ささをヤケに感じて、目線を脚下の石に逃がした。
「私より小さな存在見ーつけた。」
自分の存在がたまに偽りの様に感じて
今見ている景色が嘘に感じて
''本物''って何なのだろうなんて感じて
生きる意味をたまに失う。
1度止めた足をまた踏み出して、目的の自販機へと向かった。
自販機の灯りに照らされて、ポケットから460円を握り締める様に取り出した。
お金を入れて、メンソールの煙草のボタンを押す。
手帳型の携帯カバーに入れていたカードをタッチすると、ガコンッと少し雑に煙草が出てきた。
出てきた煙草を手に取り、直ぐに透明のフィルムを開けると、クシャクシャに丸めてポケットに突っ込んだ。
長い煙草を1本口へと運び火を付けると、大きく煙を吸い込んで吐き出し、私はポツリと呟いた。
「昨日、何してたっけ…」
それが''私の今日の終わり''に呟いた言葉だった。
そして''世間では、今日という1日''がスタートするのである。
また無言になり俯くと、私は今度は家へと歩き出した。
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