第31話劇団
ショックのあまり、桜は呆然としていました。
しかし、すぐに思い立ち、行動に出るのです。
『桜だけ劇に出られないのはなぜですか。桜にもチャンスをください』
桜は先生にメールをしました。泣きながら何度もメールをしていました。
この頃から、桜の何かが、壊れていくような音が、がらがらと響いているのを桜自身、感じていました。
『見学にきたらいいよ』
数日後、先生からメールがきました。
見学当日、桜は喉が痛いのをおして、いつもの稽古場に行きました。
ところが、そこにいたのは演劇仲間のうち、数人しかいなくて、桜は拍子抜けしました。
選ばれた人達は、すでに台詞を喋っていました。
もう台詞も頭に入っています。
けれど、残念ながら台詞のことは、桜の頭にありませんでした。
ただただ圧倒されたのです、皆の演技と、先生の台本に。
自分もこんな劇がしたい、と桜は思いました。
喉が痛いので、桜は早く帰りました。
劇をしよう。
思い込んだら、止まりません。
声優のことはもう、考えられなくなっていました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます