第18話仕事

 会社勤めの日々が始まりました。


 朝礼で、桜はよく眠っていました。


 家から会社まで、遠いので毎朝早起きしなくてはなりません。その上、朝礼で話す上司は話が決して上手くありませんから、桜は体がふらつくのを必死におさえていました。


 朝礼が終わる頃になると電話が鳴り出します。


 事務員は、これに出なくてはなりません。


「はい。○○会社です」


「いつもの!」


 会社のお得意様でした。でも、いつ、どこへ、なにを?


 桜にはちっともわかりません。


 あたふたしているうちに電話が切れてしまいました。


「何を言っていたか聞いたの?」


 先輩の言い方には刺がありました。桜が電話を上手く取れないことは日常的に、それも多々あることなのです。


「すみません」


 でも桜には「もう一回言って頂けますか」と聞き返すより、先輩に怒られている方が楽であったのです。


 ダメな人という烙印が、桜には押されていました。

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