第2話 3体目の式神と契約しました。
僕は姉さんと同じ部屋になった。姉さんの部屋はまだ物置きなので誰かと相部屋になるのだ。そして最初に上がったのが僕の部屋だった。まあ、姉弟だし相部屋は当たり前か。姉さんも抵抗なかったみたいだし。
ってか、姉さんって結構寝相良かったんだな。
「……姉さん。朝だよ」
「もうちょっと寝させてくれ。真」
「えっと、僕この状態を何とかしてほしいんだけど」
今の状態は姉さんが僕を抱き枕にしている状態なのだ。結構優しく抱かれている。が、ちょっと柔らかい物が僕の背中に当たっているんですけど!!
「ね、姉さん。いい加減起きないと僕の理性が飛ぶよ」
そう言うと、姉さんは起きた。昔ならこんな事を言ったら「出来るもんならやっておろ」って言われてたけど、今の僕じゃやりかねないってことか。
「姉さん、起きたね」
僕は笑って姉さんを見た。
「お、お前!」
「こう言う事言わないと起きないでしょ。それに、あの光景を見られて詠歌さんと林檎さんに誤解されたら面倒だし」
僕はTシャツを脱いだ。まあ、今まで結構しばかれたから見れる位の筋肉はある。
「お前、筋肉ついてるな。昔はあんなヒョロヒョロだったのに」
「ん?ああ、僕退魔部に入ったんだよ。で、めっちゃしばかれたの。昔の姉さん並みにね」
姉さんは「ほう」と言った。結構興味があるらしい。
「姉さんも着替えれば?」
「あ、そうだな」
僕らは着替え始めた。するとタイミング良くノックが聞こえた。
「清夏さん、真君。朝食出来ましたよー」
「ああ、分かった。今着替えてるから待ってろ」
そう言ったのは姉さんだった。そして、詠歌さんは扉を開けた。そこには着替え終わった僕と下着姿の姉さんが立っていた。
「な、なな!」
僕は頭を抱えた。
まったく、余計な事を言ってくれる。
「何してたんですか!?」
「着替えてたと言っただろう」
「真君!」
「まあ、姉弟だし。普通じゃないの?お風呂にも入れて貰ってたし」
「普通じゃない!!」
詠歌さんは赤面してそう言った。あれ、いつもの反応と違う。もしかして、姉さんがいるから?
僕らは朝食を取って、すぐに学園に向かった。
「真君」
「何ですか」
そう言ってくっ付いてきた。
「何で離れるの?」
「嫌だからです。それに、皆見てますし」
僕は手を振るった。
「あん。つれないなー」
「僕はもう行きます。あと、式神を大事にして下さいね」
僕は走って晴鬨の所に行った。
「おはよー!」
「おお、真」
「どうしたの?テンション低いね」
「明日俺、追試なんだよ」
ああ、そう言えば晴鬨は実技で赤点だった。
「何の追試なの?僕が出来る事なら手伝うけど」
「ああ、真は神様だ!!」
晴鬨は僕に抱きついてきた。
「は、晴鬨。人が見てるんだけど」
「晴鬨が苦手なのは退魔術だっけ?」
「そうだ。あれ苦手だ」
「まあ、力とかの加減の問題って言うしね。でも、それなら式神に教えて貰えば……」
そう言うと式の虎丸は溜息をした。
「あー、言っても分からないと」
「そうです」
僕はちょっと自分がやったやり方を教えた。
「まあ、これは実戦あるのみかな。僕が付き合うよ。実習室に行こう」
「分かった」
そして、追試当日。
「1年赤組、土御門晴鬨。前へ」
「はい」
追試内容は結構簡単。先生が選んだ妖魔を退治するだけ。まあ、退魔が苦手な人には結構苦手な事か。
「課題は下級の狐を退魔することだ。用意はいいか?」
「はい」
そう言うと先生は術を解いた。
そして出て来たのは……。
「ま、待て!これって!?」
出て来たのは九つの尻尾を持つ狐だった。
「あれは九尾狐!!」
九尾狐とは別名九尾の狐。つまり上級の狐だ。
「何であんな大物がこんな所に!!」
僕は先生が持っていた錫杖を借りた。
「オンクロダヤウンジャクソラカ!」
「くっ!!」
僕は晴鬨に向かって呪符を投げた。晴鬨は気絶していた。
「先生、晴鬨を医務室へ。そしてこの場にいる全員外に出て下さい」
「し、しかし!」
「僕の言っている意味が分かりませんか?僕は邪魔だから消えろと言っているのですよ」
僕は先生を睨んだ。先生は納得したように部屋を出た。
「狐子。出られる?」
「はい」
狐子は男性の姿になって出て来た。
「……ほう。お主、天狐ではないか」
「久しいな、九尾狐」
「知り合い?」
「はい。こ奴は、古い知人です」
「お主、何故このような下賤の住まいにいる」
「知りたいか。それは我主、真様がいるからだ。結構面白いぞ?」
そう言うと九尾狐は高笑いをした。僕は何が何だか分からなかった。
「あっはっは!あまりその様な事を云わないお主がそんな事を言うなんてのぅ。面白そうじゃ」
そう言うと大きい体は煙に巻かれて、人間の姿になった。
「童はお主に仕えてみたくなった。どのような人間か見定めて見る気になったわ」
「えーと。まあ、一件落着か」
僕と九尾狐は契約の儀を始めた。
「我は式神と契約を望む者なり。我第一式、狐子の体を媒介としそこにいる茨木童子を我の手中に入らせたまえ。名は高香」
そう言うと、僕の足に何か熱い物を感じた。やはり印が刻まれたのだ。
「さて、これからは真様の手中に入ったのだから命令は絶対だぞ」
「分かっておる。それに、真様も結構面白いからのぅ」
そう言って扇子を閉じた。
「そう言えば狐子は妖狐じゃなくて天狐だったんだね」
「はい。一応、3000歳は超えているので」
「まじか!」
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