白いたんぽぽ

「なんの花が好き?」

そう訊いてきたあなたに

私は「たんぽぽ」と答えた


あなたはちょっと困った顔をしていたね


もうすぐ私の誕生日

花を贈ろうとしてくれたんでしょ?

花屋で買える花を言ってほしかったんだね


でも私は好きなの


可憐な花が

柔らかな綿毛が

アスファルトの割れ目にでも芽吹く力強い根が


昔あなたと遊んだ公園にも咲いていたね

もうあの公園はつぶされて

道路になってしまったけれど


もし私に花を贈ってくれるなら

私は白いたんぽぽがいい


純白のたんぽぽを探しに

二人で探検に出掛けよう


なくなってしまった公園をもう一度見つけたら

そこに白いたんぽぽが咲いている気がするの

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