第14話

PM4:50。終業時間に程近くなって、一通り今日の仕事が終わったであろう、西岡さんが話し掛けてきた。




「どうする?今日、給料日前だし宅飲みにする?」


「いいっすよ、俺ん家でもよければ。」


「よーし、じゃあ今日は飲み倒しますか。」



終業時間になり、僕と西岡さんはパソコンを落とし、帰るべく二人エレベーターへ向かった。



下から上がって来るエレベーターを待つ。程無くして「ピンポーン」と到着の合図が鳴り、ドアが開いた。



そこには外回りから帰ってきた純名さんがいた。



「あ、純名さん、お疲れ様です。」僕と西岡さんが言った。


「お、お疲れ様。なんだ、二人揃って、デートか?」


「えー、違いますよー。ね?」西岡さんが僕に同意を求めた。


「はい、違いますよー。西岡さんは優しい先輩です。」


「ははは。そうか、気を付けて帰れよ。」苦笑いする純名さん。


「はーい。お疲れ様でしたー。」と僕と西岡さんは純名さんとすれ違いにエレベーターに乗った。




純名さん、デートだなんて、何であんな言い方したんだろう。そりゃ僕達の事は秘密だから、異性の西岡さんと二人でいたら、そういうワードが出てきても可笑しくないけど…。




でも、さっきデートか何て言われた瞬間、僕の胸はズキンとした。

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