けものフレンズ被害者に救済を！

第1話 ログアウトできない子供たち

「つまり、息子が意識を取り戻さないのはネットの中に囚われているからですか？」

「そうです。ジャパリパークに意識の一部が残ったままになっているのが原因です。

　現在、我々【ジャパリパーク被害者の子供達に青空を取り戻す会】が開発したセルリアン・デーモンが息子さんの意識を握ったままのプロセスを探しているところです。

　セルリアン・デーモンが不正なプロセスを見つけ、そのプロセスをkillすることで強制的にログアウトとなります」

「デーモンっていうと……悪魔のことですか？」

「デーモンとはコンピュータのバックグラウンドで自動的に動くプログラムのことです。

　語源はギリシア神話のダイモーンという、神様の仕事を代わりにやってくれる存在のことなんですが、英語だと発音が同じデーモンの悪魔と同一視している人もいますね。

　まぁ、killされるプロセスにしてみれば悪魔みたいに見えるかもしれませんが」

　ジャパリパーク被害者というのは、フルダイブ型ネットテーマパーク【ジャパリパーク】において、ログアウトできずに意識が戻らない子供達のことである。

　現在、ジャパリパーク・サービスは運用を停止し、未だにログアウトできない子供達の救済に努めている。

「サバンナ・サーバのセルリアンが異常終了しました」

「……どういうことだ？　荒井さん、現地にダイブして確認してきてくれ」

「分かりました」

　モニタに映し出されるセルリアンブルーのデスクトップ背景に、ジャパリパークへのゲートが開いた。