6 モスクワの思い出

知らなかった本当に

モスクワにあなたがいるなんて


クレムリン宮殿を写真に撮って

モスクワ音楽院で愛しい作曲家の音楽を聴いて


夫婦なの恋人なのと誰もたずねないけど

そう思われていると


ひとりでいるよりずっと気分が上がる

ずっと好きだった人


一日が終わってそれぞれの宿に

でも別れがたくて


抱きしめて頬にキスをする妹の恋人だもの

妹のものだもの


「帰国したら別れるよ」

「本当に?」


唇を重ねたあなたは私の知らないあなた

私の知らない私は唇の柔らかさを感じている


溶けるような戦慄が走るような

毒を含む甘さが私を離さない







***

ヴィエニャフスキ 1853年:モスクワの思い出

https://www.youtube.com/watch?v=lFX_EQic6kA

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