国)N0.41「タイ人と国歌」

朝八時と夕方六時。

タイの街中には国歌が流れる——


十年前、タイに来た頃はこの国歌が流れている間はタイ国民は歩みを止めて、作業を止めて、国歌に耳を傾け国王に敬愛の念を贈っていた。

 それは今も変わらないのだが、少しずつ立ち止まっている人が減っていることもまた事実。

 それでも、一日、二回、仕事始め、仕事終わりの時間に流れる国歌。聞き慣れたとはいえ、外国人である私ですら何か心に響くものがある。

 その国に住む人々はその国を愛して止まないのはどこの国でも同じであろう。

 

愛国主義———。


 そう言うと、なにか日本人は暗い昔の戦争の歴史を思い出すのか、もしくは想起するのか(そういう教育を受けさせられてきた)、半歩身を引く傾向にあるけど、自分が生まれ育った国を愛する行為に何を恥じ、何を戸惑う必要があるのかと私は思う。


 私は、国歌に耳を傾け口ずさんでいるタイ人は美しいと思う。

日本にも「君が代」という立派な国歌がある。普段はそんなに聞くこともなくなったけど、オリンピックや他の国際競技なんかで表彰台に上がった選手が「君が代」に耳を傾け口ずさんでいる姿を見て、心にじぃーんと沁みるものがある。

やっぱり、ちゃんと「国歌」を大事にしなければと思う。


「国歌斉唱」を拒否する教師が日本にはいる。

大阪の元知事が彼らを罰したことがあるが、私は当然だと思う。だって彼らは公務員なんだから。日の丸の国からお給料頂いているんですから、それを憲法違反だと理屈をつけて拒否するような人間には子供の教育は任せられないと、憤りを覚えたものだ。


 何もムヅカシく考え捉えることはないじゃないか。

タイ人のように、純粋に国を愛し、国王を愛し、国歌を愛すること——こんな簡単なことを、日本人は忘れてしまったのじゃないかと、朝夕の二回のタイ国歌を聞くたびに私は思う。


 国歌、国旗、国のシンボルは大事にしょうよ。

 そういう教育こそ日本の未来を背負って立つ子供には必要だと、タイに来て強く思うようになった。


 思想、宗旨の自由の権利とか言う前に、その国の人間であること忘れないようにしないと、「根幹」のない人間になる気がする。





【駐在員心得】


 最初はなに?、なんで?って思うかもしれませんが、朝夕のタイ国歌流布にはこの国で働かせてもらっていることへの感謝をこめて、敬意をもって接しましょうね。それが良識ある日本人の矜持ですよ。






|..........λ     んじゃ、今日は、この辺で。


                    by ピエ太

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