魔生機甲設計書《ビルモア》[魔術道具]

 魔導師たちによって生み出された、魔生機甲レムロイドを呼び出すための魔術書である。


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■外観

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 表紙・裏表紙・背表紙は、木材や金属の中板を動物の革でカバーしてある。

 その中板や革には複雑な魔術式による【魔法陣】が刻み込まれている。

 また、中身は一般的に50ページ~100ページ程度の何も書いていないように見える白い紙だが、よく見ると透けるようにそこにも魔法陣が描かれている。

 最後の数ページは、マテリアルリストと呼ばれるページになっており、横罫線が引かれている。

 大きさは、だいたいB5サイズほどのがほとんどだが、小型(A5)、大型(A4)なども存在する。

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■製作方法

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 基本的に魔導師たちの間のみで作成手法が伝わっている。

 大量の魔力をコントロールして作成しなければならないため、ある一定レベルの魔導師以外は作ることができない。

 各魔導師がそれぞれ作り売っているが、【魔導院】という魔術学院で大量生産されているものが安価で手に入りやすい。

 使用する材質により良し悪しがあり、品質が悪い場合には、消費魔力効率が悪い、活性化アクティベーションがしにくいなどの問題が出る場合もある。

 だいたい相場は500万円(日本王国円)。

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■記載方法

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 もっとも他の魔術道具と魔生機甲設計書ビルモアが違うところが、この記載部分である。


 白紙ページに魔生機甲レムロイドのイメージを描きこんでいくのだが、この時に頭の中にどれだけイメージできるか、そしてそのイメージをどれだけ図として具現化できるかが、魔生機甲レムロイドの完成度に大きくかかわってくる。

 記載する内容は、イラストだけではなく文字も情報として含まれる。

 この時に魔力はまったく必要なく、いうなればイメージ力がものをいう。


 記載時に魔生機甲設計書ビルモアは、記載者の魂とリンクしてイメージを吸収しようと試みる。

 その吸収した情報が、記載された内容と同期して記憶されていく。

 その際、難易度は高いがカラーリングなども反映してくれる場合がある。

 また、見えない部分は、魔生機甲設計書ビルモアが勝手に補完までしてくれるのだが、この補完に関しても記載者の知識などが影響していく。


 このまるで「人工知能のような補完能力」には理由がある。

 魔生機甲レムロイドの基本はゴーレム=魔法生物である。

 つまり、仮初ながら魂が存在する。

 この仮初の魂は、魔生機甲設計書ビルモア生成時に魔生機甲設計書ビルモアに組み込まれている。

 これが可能なのは、魔生機甲設計書ビルモアが魂の入れ物として、脳の役割を果たすように作られているからである。

 いわば、魔生機甲設計書ビルモアは「人工頭脳」なのだ。

 記載行為は、その脳の海馬(白紙)に魔生機甲レムロイドとしての記憶を焼き付ける作業と言えばわりやすいだろう。

 この焼き付けに成功し、脳が活性化アクティベーションすることで、魔生機甲レムロイドが自己認識して具現化できるのだ。

 

 ただし、脳と言っても機能限定されおり、そこに感情等の余計なものがふくまれることはありえないである。

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■レベル

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 記載した際に使用したページ数が、そのままレベルとしてカウントされる。

 最低レベルは5であり、それ以下の魔生機甲レムロイドは存在しない。

 記載ページ数が増えると言うことは、それだけ情報量が増えると言うことになり、脳たる魔生機甲設計書ビルモアへの焼きつけ難度が上がることになる。

 多くの情報を焼きつけるには、それだけ強いイメージ力が必要となる。

 また、イメージ力が強ければ、1ページに多くの情報を書き込むこともできるが、あまり多くの情報を書き込むと、魔生機甲設計書ビルモアが整理しきれずうまく活性化アクティベーションできない場合もある。

 バランスよくできれば、同じレベルでも情報密度が異なる。

 情報密度が濃いほど、魔生機甲設計者レムロイドビルダーのイメージに近くなり、強さの再現性も上がることになる。

 ちなみに、入門用として売られている魔生機甲レムロイドは、レベル10。

 対戦試合プグナでよく使われるレベルは、10~30ぐらいまで。

 軍用で、35~40。

 レベル50クラスを作れるのは、ほんの一握りの魔生機甲設計者レムロイドビルダーのみ。

 現在、確認されている最高レベルは60だが、その魔生機甲設計書ビルモアは失われている。

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■資材調達方法

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 ある程度の情報が書き込まれ、活性化アクティベーションできようになると、随時【資材調達処理マテリアルインポートプロセス】という処理が動きだす。

 資材になるべき物の上に魔生機甲設計書ビルモアを置いて、手をかざすだけで良い。

 魔生機甲設計書ビルモアが近くにある物を資材と認識すると、「マテリアルインポートプロセスを起動しますか?」というメッセージが浮かびあがり、「はい」「いいえ」の選択肢が選べる。

 「はい」を選ぶと、魔生機甲設計書ビルモアは近くにある資材を自分の中に分解しながらとりこみ始める。

 取りこまれた資材は、魔生機甲設計書ビルモアの最終ページにあるマテリアルリストに書き込まれる。

 基本的に資材は、戦闘である程度の消失を招いても、格納ストレージ・インされた時に魔生機甲設計書ビルモアの記憶を元に再生される。

 ただし、あまり大量に消失した場合は、資材の追加が必要になる。

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魔生機甲レムロイドの具現化

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 魔生機甲設計書ビルモアから魔生機甲レムロイドを具現化させるには、魔力を使った【構築ビルドの儀式】というものを行う。

 これは、4フェーズにわかれている。


設計読込デザイン・ロード

 このフェーズでは、魔生機甲設計書ビルモアに記憶の想起を行わせる。

 魔生機甲設計書ビルモアが浮きあがり、ページが1ページ目からデザインが描かれている最後のページまで自動的にめくられていく。


材料確定マテリアル・フィックスド

 このフェーズでは、魔生機甲設計書ビルモアが使う資材を確認する。

 最後のページが自動的に開き、マテリアルリスト上の資材を1つずつチェックしていく。

 ここまでのフェーズは、あらかじめ行っておくことができる。ただし、記憶の保存には魔力が微量ながら消費されるため、フェーズ処理者が魔生機甲設計書ビルモアから離れるとリセットされてしまう。


構築ビルド

 このフェーズで、魔生機甲設計書ビルモアから魔生機甲レムロイドが具現化される。

 魔生機甲レムロイドは足下からできあがっていき、それと共に魔生機甲設計書ビルモアがパイロットと認識した者をコックピットまで導く。

 魔生機甲設計書ビルモアは、コックピットの正面に設置される。

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魔生機甲レムロイド格納ストレージ・イン

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 格納ストレージ・インとは、魔生機甲レムロイド魔生機甲設計書ビルモアに戻すことである。

 戻る時は、構築ビルドの逆の流れで戻っていく。

 パイロットが魔生機甲レムロイドからある一定距離離れた時、パイロットの魔力が魔生機甲レムロイドを動かすに足りなくなった時、もしくは魔生機甲レムロイドが多くのダメージを受けて生物的に死に体になった時には、強制格納フォース・ストレージ・インという現象が自動的に発動し、魔生機甲レムロイド魔生機甲設計書ビルモアに戻ってしまう。

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■内容の修正

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 基本的にはできないが、細かいことならできる。

 これは魔生機甲設計書ビルモアの記憶の書き換えということになるため、強いイメージで書き込まれた内容を書き換えることはできないということになる。

 ちなみに、矛盾する事項があった場合は、前方の記載が優先されることが多い。

 ただし、前方の記載イメージが弱く、後方の記載イメージが強い場合はこの限りではない。

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■破損について

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 魔生機甲レムロイドが壊れても、魔生機甲設計書ビルモアがある限り復活することができる。

 ただし、復活にはそれ相応の時間がかかり、四肢の破損などは一晩ほどかかることになる。

 また、復活には魔力が必要なため、復活するまで常に魔生機甲設計書ビルモアの側で魔力を供給する必要性がある。


 一方で、魔生機甲設計書ビルモアが破損した場合は元に戻ることがない。

 魔生機甲設計書ビルモアが破損すると、宿っていた魂が消えてしまうために機能しなくなる。

 また、魔生機甲レムロイド具現化中に魔生機甲設計書ビルモアごと破損された場合、強制格納フォース・ストレージ・インも発動せずに、そのまま朽ち果てるように少しずつ形を失っていく。

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