第48話 おっさんはさらに
「あと4階でクリアだね」
「うん!みんなのおかげでなんとかここまでこれたね」
11階の終わりで1夜を過ごすことにした俺たちはそれぞれの装備の点検をし食事をしながら話をした。
「ほらリュート」
「おお、レオンサンキュー」
レオンは鍛冶師も兼ねており俺のサーベルや今みたいにリュートの槍を研いだり色々メンテをしてくれる。
「アマガイ、その短剣そろそろ寿命だ」
「そうか、なんとなく手になじむし使い勝手がよかったんだがな」
「初期装備だからだろ、戦いの最中に壊れて使い物にならないとなる前に持ち替えを考えといたほうがいい」
「そうだな、ドロップ品になにかないかアルさんに聞いてくる」
「ああ、そうしたほうがいい」
レオンの忠告をききアルさんの元にむかいドロップ品から武器を見せてもらった。
「どうですか?」
「んー…どれも同じような感じですね」
「そうですか、私武器はよくわからないのでごめんなさい」
「いえいえ、握りやすいか振りやすいかってくらいしか俺もわかりませんよ」
「アマガイさん何してるんですか?」
「ん?武器が痛んできたんで戦いの最中に壊れたら困るから新しいのは何かないかとおもってね」
「そうなんですね!どれどれー……」
ひょっこり背中から顔を出し並べられている武器をメイちゃんが品定めするように見はじめた。
「メイ、アマガイさんの邪魔しちゃだめよ」
「邪魔してないよ……少しでも力になりたくって…あ、これ綺麗……」
「ん?どれどれ、ああ、じゃあそれにしようか」
「アマガイさん大丈夫なんですか?」
「ええ、ショートソードで長さも重さもいい感じですしなにより直刀だから今の短剣から持ち換えるにはちょうどいいですね」
「アマガイさんほんと?」
「ああ、選んでくれてありがとうな」
「はい!」
頭を撫で礼を言うとメイちゃんは嬉しそうに笑った。ドロップ品で武器や装備品については壊れそう、壊れた、いまのよりいいものがでたなどした場合、アルさんに言って装備をもらってもいいことになっている。
アルさんが帳簿につけてあとで誰が何をもらったとか報酬分配の場で説明するそうだ。
「いいのがあったのか?」
「ああ、これにした」
「ふむ、呪いの類もないようだしいいんじゃないか?」
「ああ」
「ついでに武器の職人としてアドバイスするとサーベルも多少重くなったとしてももっと刀身が頑丈なものの方がいいぞ」
「そうか」
「ああ、正直この辺で手に入る武器ではもうお前の力を発揮できないとおもう、なら少しでも長持ちしそうなものに変えるしかないだろう」
「そうだな……せっかくだし両方もちかえるか」
「それが妥当だな」
レオンに短剣のかわりに貰ったショートソードを見せたがどうせならと再びアルさんのもとへ戻った。
「そうですねレオンさんの言うとおりかもしれませんね」
「なんどもすみません」
「いえいえ、それでなにかいいのがありますか?」
「うん、さっぱりわかりません。たぶん刀身が厚くて丈夫そうなのがいいんだと思います」
「なるほど……ではこのあたりですかね?」
「ん?ああ、いいかもしれないですね。んーどっちがいいか」
「どうなんでしょう?個人的にはなんとなくですがこちらの方がお似合いのようなきがしますが」
「そうですか?ではそれにしましょう」
「え?私が決めたものなんかで大丈夫なんでしょうか」
「俺もよくわからないんで、女の勘を当てにさせてもらいました」
「まぁ!ふふふ」
右手のメイン武器をアルさんに左手のサブ武器をメイちゃんに選んでもらいレオンにみせ今回のダンジョンくらいはもつだろうと言ってもらえたので次はステータスを確認することにした。
「ステータス」
〇氏 名 アマガイ タカシ
〇種 族 ヒューマン(異世界人)
〇L V 78
〇職 業 剣士(EX)10/10
〇体 力 940/940
〇魔 力 535/535
〇 力 760(19)+60
〇敏 捷 440(19)+10
〇攻 撃 1220(19)+260
〇防 御 500(19)+50
〇精 神 980(19)(精神異常耐性)
〇状 態
【スキル】
自動体力回復LV10・自動魔力回復LV10・毒耐性LV10・麻痺耐性LV10・索敵LV10・痛耐性LV7・全耐性(大)・ 身体強化LV10(光・闇-火・風・水・雷)
【特殊スキル】
時の女神の加護・忘れ去られた神々の救世主メシア・時の女神の信者(19)
【職業スキル】
刀剣術LV10・槍術(侍)LV9・体術LV10・投擲(侍)LV7
連突きLV10
【奥義】
戦刀乱舞LV10(光・闇-火・風・水・雷)
グランドクロスLV5(光・闇-火・風・水・雷)
剣士もEXまでMAXになったな……しかしあとはぱっとしない職しかないんだよなぁ。
「ん?増えている?微妙にかわってもいるか」
ステータスを触ると選べるジョブもみれる。今俺が選べるのは…
剣豪(???)・盗賊・海賊・農民・国家公務員
「地方から国家になってる……レベルが上がったからか?」
とりあえず剣豪でいこうとおもう……ってか他の職業も上級職とかあるのか?
「あぁ!アマっちゃん武器が変わってる!」
「レオンに武器が寿命だといわれてな」
「そっかぁ、仕方ないね!初期装備だし」
「ああ、よくなじんでつかいやすかったんだがな、すまんな」
「いいよいいよ!しょうがないよ!」
「サーベルももうダメなんですか?」
「いや、サーベルはまだ使えるんだがこれを機に変えておこうともってな」
「そうですか、ではおさがりをいただいてもいいですか?」
「ああ!もちろんだ!使い勝手がよくて気に入っていたんだ。そこそこいい品だから使えるならぜひ使ってくれ」
「ありがとうございます!!」
リオンが嬉しそうにサーベルを受け取り早速装備してくれた。色々思い出のある武器だから使ってもらえるのは嬉しいものだ。
「よし行くぞ!」
翌日ライルの声で12階へ向かった。
「複数の魔物がいます!」
「戦闘準備だ!」
「犬と牛の群れなのか?」
「なんでこんな入り口付近にあんなのが!?」
先頭を歩いていた慧の言葉に全員が臨戦態勢をとると魔物の群れをみた俺と驚きながら叫んだリリの声が重なった。
「皆さん!コボルトとミノタウロスの混成です!」
「げっ!ミノタウロスって単体じゃないの!?」
「本来ならそうなんですがっ!」
「落ち着け、うろたえてもしょうがないだろう」
「レオンさん…そうですね、すみません。ライルさん!ミノタウロスの攻撃は受けない様におねがいします!ミノタウロスは遊撃と遠距離で!」
「わかった!」
「了解!」
リリたちが焦る中、レオンが言い聞かせるように落ち着かせいつも通りの俺らの戦い方に持ち込めそうだ。
「おい、アマガイ」
「なんだ?」
「新しい武器になったんだろ?感触をたしかめる感じで一発派手なあれぶっぱなしてやれよ」
「派手にやれるかはわからんが、試しにやってみるか」
「おう!おーい!皆ぁ!」
「なんだよ!リュート!」
「アマガイがぶっぱなすから気をつけろよ!」
「なっ!ばかかっ!全員退避!」
「退避完了です!」
「アマっちゃん!おもいっきりやっちゃって!」
「アマガイ砲充填完了!」
「「はっしゃぁーーー!!!」」
【グランドクロス】
全員が退避したのをリオンが知らせてくれ、この奥義をなぜか気に入ってるニーニャとヨーコの掛け声で発動した。
グランドクロスという奥義スキルは属性を付与した身体強化に物をいわせ高速で剣を振り斬撃を飛ばす技だが何度か試していて斬撃にも属性が乗ることがわかり雷を纏った斬撃が十字の形で通路いっぱいに飛んでいき次々とコボルトを切り裂き、最後に斧で受け止めようとしたミノタウロスも斧ごと切り倒した。
「よし!残りのコボルトをたおせ!」
「リュート!偉そうに言ってねぇでてめぇも戦え!」
満足げに頷きびしっと指さし指示を飛ばすリュートにライルが叫んだ。
「しかしいつみてもえげつないですね!」
「慧これが男のロマンだ」
「リュートさん……」
魔石やドロップ品を回収しながらいった慧だったが胸を張りなぜかどや顔のリュートにさすがの慧も若干引いていた。
「アマガイさん!新しい武器はどうですか!」
「ん?ああ、ばっちりだ。メイちゃんに選んでもらって正解だったな」
「えへへへ、よかったです」
「え?アマガイさんの武器はメイちゃんが選んだんですか?」
「はい!お母さんと私が選んだんです!」
「ぐぬぬぬ!メイいつのまに!」
「さすがアルさん…油断も隙もない……」
俺に頭を撫でられ嬉しそうにしているメイちゃんにカナがたずねるとメイちゃんは自慢げに答え、なぜかリドリーは悔しそうにし、リオンは穏やかに微笑んでいるアルさんをみて恐れおののいていた。
「アマガイあまり全開にするとすぐ武器が使い物にならなくなるかもしれんぞ」
「ああ、今ので4割くらいで押さえているから大丈夫だと思うが一応気を付ける」
「ああ、それならいいが」
「ちょっと!今のが4割!?レオンもなに、ああそれならいいがってながしてるの!?」
「ん?大体4割くらいの威力だとおもうが……」
「アマガイのレベルを考えれば妥当だろうな」
「だから!二人のリアクションおかしいって!みた?ミノタウロスは初登場だったのに何の見せ場も鳴き声すらあげないでおわっちゃったんだよ!?」
「そうはいわれてもな」
「ああ、事実は事実だからな」
「ニーニャなにを今更さわいでんだ、そいつらはいつもどおりだろうが」
「そうだけど!そうだけど!!!」
俺とレオンが答えるたび地団太を踏んで興奮するニーニャだったがライルの一言でひとまず納得したようだ。
「アマガイもだいぶ女神様の騎士としてふさわしい実力を発揮してきたな!」
「リュートさん……」
腕を組みうんうんと満足げにうなずくリュートを見てカナがドンビキしていた。
「今日もおっさんずは皆面白いね!」
「面白いというか……衝撃的というか……正直あの4人だけでAクラスパーティー並みの実力だと思いますよ」
「リリさんマジ!?」
「はい、それにニーニャさんと慧さんが混ざると間違いなくうちのギルドでもトップ争いができるほどの戦力だと思います」
「うわぁ……まだうちらダンジョン2個目なのに……」
「正直、このくらいのダンジョンでは過剰戦力ですからね……」
リリの言葉にヨーコも違う意味でドンビキしていた。
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「いやぁ、15階って長かったねぇ」
「やはりダンジョンの中だと時間の感覚が狂いますね」
「ああ、生活リズムをどれだけ早く治すかとダンジョン内での体内時計の狂いを対処しないと次のダンジョン攻略が遅れるな」
無事にクリアし外に転移すると陽が落ちかけていて昼過ぎたころだと思っていた俺たちはダンジョンの近くにある宿で一泊することにした。
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