第12話

僕とこのエルフの体の持主のディーナ・シーさんは、近くの村に行こうとしていた。


「近くの村は何処に在るの?」


とディーナさんに聞いた。


「この湖の辺にオラーケル村が在ったはず・・・・もう少し歩いて行きましょう。」


僕は湖沿いを、更に南下して歩いた。すると大きな木々に紛れてレンガで出来た教会の様な建物と、2階建てのレンガで出来た、民家らしき建物が幾つも在った。そして教会の様な建物に、僕は入ってみた。


「おお!貴女様はディーナ・シー様!

到頭復活成されたのですね!これは失礼、私はグロイビゲと申す者です。」


と白い服を着た恰幅の良い、年配の男の人が現れた。するとディーナさんに代わって


「ええ、但し問題が有ります。」


「それはどう言った事ですかな?」


とグロイビゲさんが返し言った。


「復活の折り、異世界の女性の魂が宿っての事、しかし宿ったのが男性の物でした。」


とディーナさんが少々顔を歪めながら、

グロイビゲさんに答えた。


「何と!では充分な力を発起出来ない訳ですかな?」


とグロイビゲさんが驚きの表情を隠せないまま、応えた。


「申し訳ありません。」


とディーナさんが少し悲しそうに呟いた・・・・


「いえ、ディーナ様が気に病む事では有りません!何かの手違いに違い有りません!」


とグロイビゲさんがディーナさんの不備を、強く否定した。


「ごめんなさい!」


とディーナさんに代わって謝った。


「むむ!?貴方は?」


「僕はその異世界の男の魂の者です。」


僕はこれ迄の経緯をグロイビゲさんに、隠さず全てを話した。


「そうでしたか・・・私としての心情は複雑では有りますが・・・。」


とグロイビゲさんは残念の様な、怒りを堪えた様な表情をしていた。


「凄く言いずらいのですが、その、はぐれた友達の事を何かご存じ有りませんか?」


「状況からすると・・・・う~ん・・・何かに憑依した可能性が有りますな。だとすると・・・・・・・・

噂ですが、ダークエルフに憑依した者がこの国内で旅をしているとか。本当かどうか分かりませんが。」


「有り難う御座います!」


僕はグロイビゲさんにお礼を言うと、探しに行こうとした。その時!


「待ちなさい!うかつに動いては更に離れてしまうかも知れないですよ!」


とディーナさんが静止した。


「沿うですよ、ここで情報を集めてから、動いた方が良いですよ。」


とグロイビゲさんも僕を促した。


「・・・・・・解りました。」


僕はこの村で情報を集めてから、動く事にした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る