召喚チート能力者の異世界生活

第０話 プロローグ 気が付いた場所は真っ白な世界だった

　「あれ？ここは…？」

　俺は目を覚まして上半身を起こす。どうやら眠っていたようだが…だが、ここは一体…。

　『やぁ。目を覚ましたようだね…』

　「き、君は…」

　見知らぬ白い部屋で目を覚ました俺の前に、髪の長い白い服を着た金髪の少女が目の前に姿を現した。目線を合わせるため屈んでくれているのだが…パンツが…。俺は慌てて目線を逸らし起き上がる事にする。水色の縞パンだった。

　「えっと…き、君は…だれ？こ、ここは…」

　『初めまして。君は自分の名前を憶えているかい？』

　俺の名前…俺は鈴木（すずき）太一（たいち）。この春高校を卒業をしたばかり…就職が決まっており初出勤で会社に向かっている最中だった。道を歩いていたはずなのに気が付いたらここで寝ていた。

　「す、鈴木（すずき）太一（たいち）…会社に向かっていたはずだけど…」

　『名前と最後の方の記憶は覚えているようだね。良かったよ…たまに忘れている人がいて大変な時があるんだ』

　「え、えっと…君は…」

　『私の事は気にしないでくれるか？これから君に非情な言葉を投げかけなければならないんだ…困ったことにね…』

　ニパッと笑いながら言うのであればそんなに酷い話ではないのだろう。

　『えっとね、君…死んだんだよ』

　「－え？」

　『死んだの。君は』

　「し、死んだ？」

　『そう。死んだの…君は会社に出勤している最中に歩いていた道を覚えているか？』

　あ、歩いていた道？

　『君が歩いていた道…そこは新しいマンションを建設しているところを通っていたんだ』

　「ま、まさか…」

　『そのまさかさ…君の頭上から鉄骨が落ちてきて君はそれに押しつぶされてしまって…ご愁傷さまって奴だね』

　「う、嘘だろ…だ、だって俺は…」

　『そうだよ。君はただ歩いていただけだ。だが、そこに鉄骨が落ちてきて君は…ＤＥＡＤ！！残念だったね』

　「ま、マジかよ…」

　『だがね…君には申し訳ないんだが…』

　「え？」

　『それはこちらの手落ちでね…間違って天使がやってしまったんだよ』

　「て、天使？」

　『そう…ここはあの世と呼ばれている場所と現世のはざま…君は精神と時の世界に居るんだよ』

　「せ、精神と…時の世界…」

　にわかには信じられない話だが、今この場にいると言う事が全てなのだろう。

　『で…だ、君を生き返らせることに決まったのだが…』

　「い、生き返らせてくれるのか！！」

　『うん。だってこっちの手違いで殺しちゃったんだからね』

　生き返らせてくれる…物凄くホッとする俺…だが…。

　『でも、現実の世界では君の体はグチャグチャ…復元したらおかしい状態だよ。継ぎ接ぎのブラック○ャック状態…だって君は鉄骨に潰されてグチャグチャの状態で死んだんだよ？もしこれで生き返らしたとしたら…これで生きている方が不思議って状態なんだよ。そして君は五体満足の生活ではいられなく…それでも良ければ…地球で生活をさせてあげるけど…どうする？』

　「－え？じょ、冗談…でしょ？」

　『冗談じゃないよ。だって元の世界に戻ると言う事はそう言う事なんだから…』

　「だ、だけどそっちの手落ちで…」

　『うん。そうだよ…でも、話は続きがあってね…』

　「つ、続き？」

　『そう。君に新しい世界に行ってもらおうかと思うんだよ。まぁ、そこには魔物とか魔法とか色々ある世界なんだけどね』

　「ま、ま…ほう？」

　『そう。そこはレグリダソーダという世界なんだ。そこで君に新しい人生を生きてもらったらと思う。そこだと継ぎ接ぎでは無く、元の姿の君に戻すことは可能だ』

　「も、元の姿…」

　『あぁ。そうだよ。それにこの世界で生きていくには何かしらの力が必要になる。まぁ、さっきも言ったけど、この世界には魔法があるからね』

　「ち、ちから？」

　『うん。まぁこちらの手落ちだ。特別に君は力を選ばせてあげよう。さぁ…何が欲しい』

　「ち、力…そ、それは何でも構わないのか…？」

　『あぁ。今回だけど区別だ。それは君に好きな物を与えさせてあげるよ』

　好きな力…昔本で読んだ…そして、誰もが一度は望んだことがあるその力…。

　「そ、そ、その具現化能力…」

　『成程…創造力ね。それについては構わないが…いくつかの制限を設けさせてもらうよ。先ずはお金を作り出す事が出来ないと言う事。もう一つは…それはその都度考えればよいか…。別にレグリダソーダの世界を救うとか考えなくて良い。君が自由に生活をすれば…。魔法については誰かに習ったりして覚えてくれたまえ。私が出来るのここまでだ。これ以上は…おっと。これだけは別にあげても構わないか…』

　そう言って少女は手を俺に差し出すと、一つの袋を手渡した。

　『それはサービスだ。それは道具袋だ…このくらいだったら文句は言われないだろう。後は…言葉と文字だけは分かるようにしてあげよう。最後に…君のステータスを分かるようにしてあげよう。普通の地球人だったらこんな程度だと思ってくれ。君がスポーツ選手だったら話は別だがね』

　「あ、ありがとう…」

　『なに、今回はこちらの手落ちだ…さぁ、あの扉を開けるんだ。そうすれば新しい世界が待っている』

　後ろを振り向くと扉があり、その向こうには森が広がっているのか木々が広がっているように見える。普通は花畑とかではないのだろうか…。そんな事を思いながら俺はその扉を潜ってレグリダソーダの世界へと足を踏み入れたのだった。

★――――――――★

名前：鈴木（すずき）太一（たいち）

レベル：0

力：1

器用：1

体力：1

魔力：1

【スキル】

アイテムクリエイト（物を生み出す力）

異世界言語

異世界文字