第38話 手袋どこやとはなんぞや

 皆様、明けましておめでとうございます。

 とうとう明けましたね、2018年。

 今年もどうぞ、よろしく御願おんねがい奉ります。


 さてさて。

 この新年早々のサブタイトルがなんであるかと言えば。


 この年末も、毎年と同様、冬休みが始まって年末年始の色んな料理の仕込みやら、お掃除やらにいそしむダンナだったわけですが。

 その日はなんや朝から、ずーっと一人でぶつぶつ言うておりまして。


「おかしいなあ」

「やっぱりない……」

「俺の手袋……」

「どこやってもうたんやろ……?」


 まあ私もあれこれ更新しなければならないものがあってノートパソコンで小説を書いていたので、「いつものよく聞こえる音量の独り言かな〜」と思うにとどめて特に相手はせずにいたわけなんですが。

 そこからしばらくして、ダンナがまた部屋の中をうろうろと探し始めたので、娘が気づいて聞きました。

「お父さん、なに探してんの?」

 それで私がなんの気なしに、

「手袋やん。ほら、私が編んであげた片方だけのやつ」って代わりに答えたんですわ。


 ほな、ダンナ、目を丸くして

「え!? なんで知ってんの!?」って問い返してきた。


 え? なんやねんなそのリアクション。


「何を言うてんねんな。さっきから『ない〜、手袋ない〜』って一人でさんざん言うてたやん」

「え!? そんなん言うてた? 知らんかった……」


 はい?

 あんだけ大きな声で言うてて、実はやっぱり独り言なんですか?

 って言うかその「知らんかった」ってなに?


「●さん、エスパーかと思おもた」


 意味がわからん。


 まあとにかく、さっきも言いましたがそれが、前に私が編んであげた指の部分のない手袋でして。冬場はとっても寒くなるコンピューターの部屋で遊ぶ(そればっかりでもないんやけども)ときのためにと、右手用だけを作ってあげたやつだったんですが。

 それも白と薄いピンクとビビッドピンクの毛糸で、鹿や雪の模様なんか入ってる可愛いデザインね。

 自分のは同じものでも水色とグリーンで編んだのですが。


「どうしよう、今朝、ゴミ捨てるのんで集めてたとき、寝起きでぼーっとしてたから……。間違って入ってもうたかなあ……」


 と、えらいしょんぼりしている。

 というか、それより何より「せっかく●さんに編んでもらったのに。●さんが怒りまくる……!」と思って気が気やなかったらしい。

 ま、確かにほんまに失くしてたら激怒は必至やったやろけどね!


 最終的には当のコンピューターの部屋で毛布やらに隠れていただけで、事なきを得たのですが。

 そんなこんなで、一件落着。


 名づけて「ダンナの独り言がはっきりしすぎてハタ迷惑事件」でした。

 って、ネーミング長すぎるがな!

 どこかの県警とかでこんな名前の帳場が立ったらちょっとオモロイかもですね。刑事もんのドラマなんかでもよく見る、部屋の前にめっちゃまじめーな文字でばばーんと筆で書かれるアレ。

 いや基本、凶悪事件でなきゃ帳場なんて立たないわけなんですが。


 そもそも、もう解決しとるけども!

 ちゃんちゃん。

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