第525話由紀の読書 中世の食べ物(3)
由紀は、目覚めは良い方である。
そのうえ、今日は朝5時半に目覚めてしまった。
朝ごはんには、まだ時間があると思った。
そのため、起きて洗顔、歯磨きなどして、読書を続けることにした。
「こがし海老は何となくわかる」
「羽ふしあえは雉の羽節から先を細かく叩き調理したもの?へえ・・・」
「つまかさねは・・・鯛の子を二ヶ所仕切り、湯通しして、酒、塩、蜂蜜で焚いて山高盛りにするって・・・すごいなあ」
「ほろふは不詳?意味不明なんだ」
「寸金羹は、室町時代の天心、水の中に葛を入れ、よく混ぜて蜂蜜を入れ、15分程度練り上げる、これなら今でもできそう」
「鮒の煮こごりかあ・・・鮒がかなり多い」
「はまちの刺身、鮭の真子ねえ・・・これもお酒には合いそう」
「鴨の煎物、鴨の肉を筋引きし、酒、塩で蒸し煮するか・・・美味しそう」
「鰆せんばん焼かあ、美味しそう」
由紀はここで一呼吸、しかし先が見えてきたので一気に最後まで、読み進める。
「たちばな焼は、魚の身をすって、クチナシで黄色くして丸めて、からたちの枝にさすか・・・芸が細かいなあ」
「あかほこ、つまりカサゴの煮物か、これはわかりやすい」
「い貝は、へえ・・・ムール貝なんだ」
「塩引き魚を削ったもの」
「ぶりの煎物、さざえのあえもの、ツグミの煎物」
「ボラの刺身、しとと焼は不詳、ホッケの煎物」
ようやく献立が終わった。
「食品は重複を除き、100種類?」
「数の子とか鮭、ほっけ、タラ、ホヤは、そもそも北陸とか東北だよね」
「どうやって調達したのかな、それとも実は近海で取れたのかなあ」
「まあ、とにかくすごいや、食材もそうだけど、料理する人も全部できたわけなんだから」
由紀は、ここで驚くしかない状態。
「まだ信長メニューあるし、秀吉メニューもある」
「きっと豪勢なんだろうね、天下人だもの」
そして、また別のことを考える。
「でも、これが最高の料理と言うのはわかる、大金持ちだし」
「普通の人は、何を食べていたのかなあ」
「毎日、こんな食事はできないはずだし」
そして、そう考えたら由紀の行動は早い。
「よし、さっそく大学図書館に行ってみよう」
「中世の庶民食事事情も調べたい」
「何か見つかるかもしれない」
さっさと着替えて、図書館行きを決めてしまった。
廊下に出たら、ちょうどよく、史が自分の部屋のドアを開けて顔を出した。
由紀は、史に
「ねえ、史、面白い本だね、ありがとう」
と、珍しくお礼の言葉。
しかし、史は素っ気ない。
「へえ、でも、食べてみないと、美味しいかどうかわからないしさ」
そんな史に由紀は近づいた。
昨日決めたことを、しようと思った。
そして、いきなり史の頭をなでなでする。
「え?何?姉貴?」
史は、身体が硬直している。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます