第340話焼肉パーティーの夜、特製飲み物

史が珍しく焼肉を食べたいなどと言ったものだから、その話は早速カフェ・ルミエールにも伝わった。

マスター

「ああ、そうかあ、少し復活か、店は休めないけれど、肉は任せろ」

ということで、マスターは早速馴染みの地産肉屋に連絡している。

洋子たちも、史の回復度合いを確認するため、店が終了後に史の家に直行した。


洋子たちが史の家に到着すると、史が出迎えた。

史は、キチンと頭を下げ

「ご心配かけて申し訳ありません」

と謝るけれど

洋子が代表して

「いいの!そんなこと。史君の体力回復が一番大切」

奈津美、結衣、彩も頷いている。

史が、そこで恥ずかしそうに笑っていると由紀も出てきた。

「ねえ、早く上がって!マスターからの肉がすごいの!」

「カルビ、タン、骨付きもあるしさ、とにかく目一杯!」

「母さんが、チゲのスープも作っているし」

「ああ、マッコリもビールもあるよ!」

由紀は、本当にうれしそうな顔になっている。


その後は、とにかく大賑わいの焼肉パーティーになった。

洋子

「うん、肉も最高なんだけど、美智子さん特製のタレが絶品」

奈津美は

「あとでこの甘辛のタレレシピを教えてください」

と、かなり真顔。

結衣も

「すっごく食欲をそそるタレですね、いろいろ隠し味が入ってそう」

彩は

「このチゲスープも・・・コクがあるんだけど、お腹にスッと入る」

かなり感激している。


さて、心配された史も、黙々と食べているけれど、由紀が時々

「お野菜もお肉も食べるの、しっかりバランスを取って」

と言いながら、史の取り皿に様々、入れいていく。


そんな由紀と史を笑いながら見ていた母美智子

「ねえ、洋子さん、軽く飲まない?」

と声をかけると

洋子はクスッと笑う。

「となると・・・あれですか?」

「私、作ってきます。ここのキッチン使いやすくて大好きです」

と言いながら、スッと席を立つ。


他の人たちが「え?」と思いながら見ていると、洋子は「大人の人数分だけ」と言いながら、大ジョッキに白く泡立つものを乗せて持ってきた。

そして、由紀と史以外がその大ジョッキを手に持ち、


奈津美は

「え?これ?何・・・初めてだけど美味しい」

結衣

「あ!わかった!甘すぎず、苦すぎず!美味しい!」

彩は

「ああ、そうかあ!マッコリのビール割りですね、飲み過ぎそう!」


美智子も笑っている。

「これね、焼肉には合うの」

洋子は

「うん、これ横浜のホテルの帰りの定番だった、私は美智子さんから教わったの」

と、グイッと半分飲んでしまう。

美智子は

「私はマスターから教わったんだけど、マスターは大旦那から教わったんだって」

と、同じく半分をグイッと飲む。


お酒を飲めない由紀と史は、ただ食べるだけ。

少し悔しそうな顔になっている。




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