第299話史のお相手談義?

由紀は、キョトン状態の美智子を呼び寄せた。

そして

「あのね、愛華ちゃんが・・・」と耳元で何か言っている。


美智子の顔色が変わった。

そして史を見た。

「史・・・何をしたの?」

美智子は、困ったような顔をしている。


しかし、史としては、「何をした?」と聞かれても、答えようがない。

愛華のほうから手を握ってきたのがほとんど。

史のほうからは、愛華が車から降りるのを手伝った程度。


由紀も、その状態は加奈子から聞いていたようだ。

「史からは手を握る状態ではなくて」

「愛華ちゃんが、史のことを気に入ってしまったの」

と、史を弁護する。


美智子もそれで納得した。

「そうだよね、史は、そういうことは超オクテだ」

それでも、その顔は難しい。


由紀

「史が、ピシって言えばいいのかもしれないんだけどさ」

「でもね、愛華ちゃんでしょ?いろいろ昔からの関係もあるしさ」

由紀は怒り顔から難しい顔になった。


美智子は

「うーん・・・京都の人たちが史と愛華ちゃんが並んでいるのを見ると・・・」

「お似合いって思うのかなあ」

「でもねえ・・・」

腕を組んだ。


由紀は

「私はね、愛華ちゃんもいいんだけど、里奈ちゃんが好きなの」

「本当に必死に、史のことを思ってくれている」

「あんないい子はいないって、史には」

と、ズバリ核心を言う。


美智子も

「そうだねえ、最近愛華ちゃんに会っていないけれどさ」

「お家の格式も高いし、京都の人たちには素晴らしい話になるけれどねえ」

「私は、そういう格式とかで結ばれるのは好きじゃない」

「里奈ちゃんがいいな、私も・・・」

と、言い出した。


史は、「どうしてこんな話に?」となっているけれど、何となくこの場を出づらく座っているだけ。


由紀は美智子の顔を見た。

「ねえ、どうする?」


美智子

「うーん・・・昔からの関係があるんだけど」

「お互いに傷つかないように」

「そんなことしか言えないなあ」


ただ、この話はこれ以上は、進みようがない。

由紀と美智子の会話が途切れたところで


史が

「ちょっと部屋に戻る」

と立ち上がると


由紀

「こら!史!」

「もう一つ話がある!」

由紀は、また怒っている。





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