第267話VS芸能スカウト(7)

校長と副校長はカフェ・ルミエールに入った。

そしてマスターに今日の校門前の一部始終をビデオを見せ、そして地域警察との「話にもならなかった相談」を打ち明けた。


マスターも苦い顔になる。

「芸能スカウトも、いずれはと思ったけれど、ついに直接ですか」

「それでも自宅でないところがいやらしい思惑ですね」


校長も感づいた。

「つまり、ついでに他の学生も見るというこですか」

副校長も難しい顔になる。

「今日だけですめばいいのですが、また来ると他の学生も動揺しますし」

「万が一があるとねえ・・・」


マスターは警察にも言及した。

「とにかく地域警察にとって、犯罪発生率が上層部からの成績評価になるらしいんです」

「だから、犯罪発生率が高い地域は、評価が低くなる」

「それだから、事なかれ主義になります」


校長も苦々しい顔になった。

「もう最初から、何もしないという態度でした」

「何か被害があれば、『動いてあげる』というような」

副校長も頷く。


そこでマスターは「しばし」と言って、キッチンに入った。

誰かと電話で話をしているようだ。

そしてまた戻ってきた。


マスター

「はい、お待たせしました」

少し頭を下げて

「校長先生と副校長先生、もう少しお時間がありますか」

と声をかける。


校長と副校長は、この話の後は楽団の練習を見る程度だったので、異存はない。

校長

「はい、大丈夫です」

副校長も頷く。


マスター

「あと10分ぐらいで来られるそうです」

「自治会長と産直市の会長さんです」

そう言って、マスターは少し笑った。


校長

「ほー・・・さすが・・・」

副校長

「うん、聞いてもらうと力強い」

校長と副校長の顔に、ようやく赤みが戻っている。


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