第174話彩とデート?(1)
カフェ・ルミエールの開店当時から、アルバイトをしている彩は、いろいろと考えている。
「まあ、里奈ちゃんはともかくとして」
「洋子さんも、奈津美ちゃんも史君と濃い付き合いだ」
「結衣ちゃんは、神保町で健全だけのデートをしたけれど、したことがある」
「うーん・・・私だけかあ・・・」
「里奈ちゃんから奪い取る気はないけれど、私も目の保養が欲しい」
「なんとか、一対一で誘い出すチャンスはないものか」
と、他の人が聞いたら「ムッ」となるようなことを考えている。
「そうはいっても、私は源氏は読んでいないし」
「音楽も聴くことは好きだけど、クラシックもジャズも知識がない」
「料理・・・それもあるけれど、他の女どもは、感が鋭いからなあ」
「史君と一緒に何かを作って、『急に美味しくなった』と言われてもなあ・・・」
なかなか、案が浮かばない。
彩がそんなことを考えていると、気持が通じたのだろうか。
史がカフェ・ルミエールに突然、入ってきた。
そして、彩にとってラッキーなことに(いや、洋子、奈津美、結衣にとってもかもしれない)、里奈も由紀も一緒ではない。
史は、何か相談がある様子。
カウンター前の席に座り、おもむろに
「あの、涼子さんが、そろそろご出産なので」
「何かプレゼントをしようかなと思うんですが、よくわからなくて」
「母さんに相談したら自分で考えなさいだし」
「姉さんは、頭をポカポカしてくるから嫌だし」
そんなことを言い出した。
彩はこれがチャンスだと思った。
「わかった!私に任せて!」
「明日の午後、時間があるから、一緒に街に出よう!」
「お迎えに行くよ!」
「私もプレゼントを何かって思っていたの!」
そして、そのまま史の手をギュッと掴む。
史は
「わっ!彩さん!助かります!」
大喜び。
他の洋子、奈津美、結衣は同じ表情。
「やば・・・出遅れた」
少し焦り顔になっている。
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