苺シロップの苺ジュース
明らかに、かき氷用シロップにありがちなイラストが付いた缶ジュース。
自販機に売られているんだけどどうなんだろ。
パパに買って〜って言ったけどダメって。
着色料も多いし体に悪いってさ。
そんなの気にしないんだけどね。
うーん…気になる!
しかも他は「水」と青汁ピーマンジュースしかないの!レア自販機だよね。
ピーマンは嫌いだから要らないし。
「水」も別に美味しそうじゃないから。
苺ジュースもあまり美味しくないかもしれないけど
最悪でもかき氷みたいな味だと思うんだよね。
中途半端に高いし。
752円だってさ!
実はすごく良い苺使用なのかも?
自分で買っちゃおうかな〜?
買えなくはないもんね。高いけど。
ガチャン!
実際、手に取ると更に怪しい。
かき氷の苺味のイラストの缶。
苺シロップの苺ジュースって書いてある。
甘そ〜
一口飲んでみた。
甘っ!!!
今まで食べたどんなものより甘い!
砂糖舐めるより甘い!
やっぱり苺シロップなのかも?
持ち帰って、かき氷機でガリガリ…
あまりにも甘かったから、少しだけかけたら足らなかった。
ケチり過ぎたか。
ちょっと多めにかけた。
うん、これぐらいかな?
普通に美味しい苺のかき氷。
あ!
そういえばパパが今日、フレンチ連れてってくれるんだって言ってた。
待ち合わせ場所に行かなきゃ。
高級フレンチなんだってさ。
パパ、お金持ちだからね。
パパは待ってた!
少し、遅れちゃったみたい。
いかにも高そうなお店で食べるフルコース!
やっぱり掴むなら金持ちのパパだよね!
…ん?
前菜がキャビアのなんとか…って言ってたけど甘い。
キャビアって甘いのかな。
珍味の一種?
次はフォアグラのなんちゃら。
良く分かんないけどフォアグラは高級食材よね。美味しそう!
……?
これも甘いし何か匂いも…変。
臭くないけど、絶対にこの食材の匂いじゃない!
フルーツみたいな香り。
次から次に高そうな料理が出てくるのに味がみんな同じ味。
苺シロップの味…!
さっきの苺シロップの味がする!
なんで?
着色料のせい?
それとも濃い甘さに舌が麻痺?
パパが聞いてきた。
美味しいだろう?
私は答える。
うん…おいしい。
「そうか。お前の口は甘い苺シロップ味が良いんだな」
え?
「あのジュース。止めたのに飲んだんだろ?注意書きを読んで飲んだか?どうせ、お前の学では読まないよな」
パパ、どういう事?
「あれはそのまま飲むと一生、味覚があれに固定されるんだよ。薄めればただの苺シロップ味のジュースなんだけどね」
え?なんで知ってるの?
「お前は知らなくて良い事だよ。それより今後、何を食べても同じ味だから早く慣れるようにな」
治せないの?
「治らない。まぁ、良いじゃないか。ずっと好きな味がするんだから」
絶句する私に向かってパパは言った。
「まぁ、そんな味音痴は私に相応しくないから今日でサヨウナラだ。学の無い金持ち狙いの女と遊ぶのもそこそこ楽しかったな」
そう言ってパパはお会計を済ませ私を置いて帰ってしまった。
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