本当に狂っていたのは誰なのか?

月兎

二人の男女の話。

She was touted as the genius story.

 __柴咲楓は天才だった。

 高校生で海外の有名大学に飛び級で入学、大学卒業後にはとある多国籍企業の日本支社に勤めている。社内評価もかなり優秀で頼んだ仕事は必ず遂行し、依頼以上の成果もこなす。カリスマ性に溢れ、部下からも上司からも慕われる…優しい人柄も彼女の評価を上げる要因だった。


 …勿論、綺麗な顔立ちやその立ち振る舞いに惚れた男は片手では数えられない。高嶺の花だと知りながらも告白をする者も少なくはなかった。

 彼女は告白された瞬間、にっこりと笑みを浮かべ笑いこう言った。

 __ごめんなさい、もう相手がいるの。


 もう一度言おう、柴咲楓は天才だ。溢れるカリスマ性、整った顔、優しい人柄…




 そんな「柴咲楓」の仮面を付けた女は、外しても天才だったのだ。

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