海の名前

この海に名前をつけて

この雷鳴に耳をすませて

この嵐に身をゆだねて

少女は渦の中へと飛び込む


この体が砕けても

この声がつぶれても

この心が失われても

かまわないと少女は叫ぶ


海の底で眠っているのは

群青の瞳を持つあの青年

少女が探しているのは

「僕の海においで」と囁いたあの青年


この思いに名前をつけて

この渦に名前を渡して

この海の名前を呼んで

少女は群青へと潜る

青年の海へと深く深く潜る

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