賢者の空、愚者の空
とある町の人々が彼を賢者と呼び
とある町の人々が彼を愚者と呼ぶ
彼は家を持たず
彼は財を持たず
彼は友を持たない
彼が持っているのは一通の手紙と
彼の妻が写っている一枚の写真だけ
とある町の人々が彼を慈悲深いと言い
とある町の人々が彼を薄情だと言う
彼は過去を語らず
彼は未来を語らず
彼は己を語ろうとはしない
彼が語るのは今日の空の美しさと
彼が愛した妻の美しさ
とある町から彼は旅立つ
妻が愛した空を見るために
ここではない空を見るために
賢者と呼ばれた男はひとり歩く
愚者と呼ばれた男は空を探す
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます