最後の言葉

「私がいなくなっても、悲しまないで」


君はそう言って僕を困らせる


「いつも通りのあなたでいて」


君はそう言って僕を悩ませる


「強く凛とした、あなたでいて」


君の願いが僕の胸を刺す


返事ができない僕は、君の肩に触れる

言葉を探せない僕は、君を抱き寄せる


「私が死んでしまっても、あなたは生きて」


僕は、君が思うほど強くなくて

僕は、人に誇れるような人間じゃない

けれど、それでも


「私が消えても、世界を嫌いにならないで」


君の祈りに答えたくて

僕は言葉を考える

いとおしい君に返す最後の言葉を考える

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