白詰草の涙

白詰草の姫は言った

「あの人に会いたいの」

白い涙を流して言った


あの人が姫に渡した

白詰草の花冠

彼女はそれを頭にのせ

草の香りの涙を流す


白詰草の姫は決意した

「あの人に会いに行くの」

涙を含んだ唇で決意した


あの人と交わした約束は

白詰草の花冠の中

彼女はその約束に手をかざし

流した涙と心を捧げる


「必ず、会えるから」


白詰草の姫はもう泣かない

あの人に再び会う日まで

あの人と姫の指先が

白詰草の花冠に触れるまで

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る