器になった青年

月日を数えることを忘れ

時間を思うことを忘れ

青年は空の器になる


自分の名を忘れ

故郷を忘れ

青年は空の肉体になる


誰かの悲しみが

誰かの喜びが

青年に注がれる


「さあどうぞ。僕をあなたで満たすといい」


誰かの涙が

誰かの笑い声が

青年に注がれる


無数の誰かを飲み込み

無数の誰かを忘れ

青年は器になった自分を差し出す

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