半身
男は無言で、立っていた
半分になった少女の傍らで
少女は半分の唇でやさしく歌う
泣かないで、と歌う
男は無言で、ひざまずく
失われた少女の半分を抱き締めようと
少女は半分の唇で語りかける
忘れないで、と語りかける
男のこぼしたふたつの涙が
少女の半分のからだを濡らす
また何処かで会えたなら
わたしはあなたに、なれるから
あなたの半分に、なれるから
男は無言で、少女の歌を聴いていた
細く消えゆく歌を聴いていた
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