ジリジリ

7月、異常に暑い夏のロックフェス、な失楽園。





熱狂。陽炎が揺れてる、グラグラと人を燃やしている。震えるくらいに、疼く。声は出るか。



星野「みなさん‥、‥‥‥‥‥‥失楽園です‥」


暑さで狂ったかのように。

名前を呼ぶ声がする、ニヤリと顔を歪める。

ペットボトルの水を飲む。

マイクを外しメンバーに近づく。


星野「‥‥っbass!天石君!!」


少しばかりソロを弾き、

笑顔で手を上げ、ピックを2枚ほど投げつける。

誰か取れたかどうか確認をするフリをして、またニコリと笑い後ろにひいていく。


星野「っdrum!天石明っ!!」


アドリブのソロを叩く、

立ち上がり予備のドラムスティックを客席に向けて遠投、君の真似をしたのか取れたかの確認をしてからニヤリと笑った。


星野「guitarっ!今井優一!!」


サイレンのギターソロを弾く、

客席にピックを投げ捨て、中指を突き立て、ニヤリと笑った、煽り、お前らはまだそんなもんか、という煽りだ。

そして今井は星野からマイクを奪い取る。


今井「‥‥vocal、星野麻輝!!」


星野は水を飲み干し、ペットボトルを投げつける。

ゆっくりと客にお辞儀をして、また笑う。

今井はマイクを投げ返した。



星野「えー‥‥、ふふ、俺らは、‥‥この暑さに、合うような歌を、‥‥新しく作ってきました、‥‥‥サイレンではないよ‥‥」


今井は舌を出してまた煽った。




星野「‥‥‥陽炎!!」




陽炎も燃えている。

また会いましょう。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る