それは歌う
お客様の前のカッコつけの彼ら。カッコつけが大事。主に喋るのはなんと頑張る星野。若気の至りの歌詞、恥ずかしいなんて思ったことないよ。麻視点‥‥か、みんな視点。
ライブは終盤に差し掛かる、終盤にはデビューシングルの「失楽園」を歌うのが最近は定番化している。
ゆらゆらと揺れる観客、身体は火照る、喉も熱い、毎回想うのはここが俺らの生きる場所だという確信にも似た感覚、ecstasy、発情にも近い、楽しい。
キャーキャー
星野「‥‥えー、みなさん、」
アサー アサキー!
星野「‥‥どうしたー(笑)‥‥はい、最後の曲、の前に」
床に置いてあるペットボトルを飲み干す。
キャーキャー
星野「‥‥どうぞ」
ペットボトルを投げ込んだ、可愛くない俺の。
星野「‥‥ふふ」
アサキー!アサー! イマイサーン!
星野「‥ふふ‥今井さーんだって、今井くん」
ちょっとにやついた今井、照れ隠しで舌を出した。
そして明がメンバーに目配せをする。タイミングが合うように。彼にマイクは無いがメンバーに聞こえるように
明「‥3.2.1」
音が始まる
鼓動まで強制されるような深い重い音
この世の終わりは近い
血が沸き立つ、昔を思い出す。
キャッチコピーは「消えた天使」なんて、甘い。
カッコつけの台詞を言うさ。
星野「‥‥ここはどこ、‥‥愛もない、果実は‥‥」
「う、ああ、‥‥ああああ!!」
「死なんて‥知らない‥」
「人生は‥‥愛と‥‥死‥‥」
幸せな楽園 空は幸せ色
羽根の生えた天使 ほら夢みたい
楽園は瑠璃色 なくなることはない
みんな同じ 血の色は知らない
死んだら星になるなんて言うけど
死んだら愛になるなんて言うけど
瑠璃色の楽園‥果実‥幸せ‥
羽根は煌めく‥同じ白鳥色‥‥
意味もなく‥‥この羽根はなんなの‥
「この羽根は何の為にあるのかな」
「もしかして」
「身体が浮いた!」
「飛べた!」
「もっと空に行こう」
「行こう!」
空の先は宇宙さ 何が見えた
天使なんていないさ ほら死が煌めいてる
楽園があったのかい 通り過ぎたかい
振り返ってごらん‥ 何もないよ
死んだら星になるなんて 言うけど
死んだら無になるなんて 言うけど
苦しいキラキラ 瑠璃色が全て
煌めきはやだ‥ 堕ちるよ‥‥
キラキラキラキラ 寂しくはないよ
煌めく夢‥‥幻‥ 僕は何‥‥
あの空のキラキラ‥‥あれは何‥‥
みんなの楽園‥振り返って‥何も
何もなかった‥‥
「ここは‥‥どこ‥‥」
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