雨’
雨が辺りを塗りつぶす。ざらつく雨は闇夜の静謐を性質の違う他のものへ変えていく。
ざあざあと降る雨が機体に触れ、音を立てて蒸発する。もうもうと煙る水蒸気にブレインは目を閉じた。耳に届く音は不明瞭で叩きつけるような雨音は誰かが叫んでいるようにも聞こえた。
見知らぬ白黒のウサギは奇妙な無人戦闘機へ無慈悲に鉛玉を打ち込んでいく。同郷の無人戦闘機はのべつまくなしに銃弾を振りまく。いくつかの流れ弾が茂みに隠れた二人の肌を焼いた。
「国には帰れそうもないわね」目をつむったブレインは無表情だ。
「ああ、無理だな。倒しても倒されても最終気には『処分』されちまう」フォルも笑わない。
「ね、こまったわ」ブレインは目を閉じたまま、流麗な動きで立ち上がった。フォルはブレインに手を伸ばした。
「ブレイン、目は平気か」ブレインは小さく応えた。
「右目は」いつもより少しだけ速く喋り、ブレインはサイバネティクスの足で駆け出した。
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