未来
鉄やアルミやチタンのごろごろする道を行歩く。フォルの肩には少女が乗っている。
「すーくん」座っていた少女が猫らしい柔軟な動きで肩から飛び降りる。ツインテールが風になびいた。
「ブレイン?」不審に思ったフォルが立ち止まる。ブレインはポケットから安いボールペンを取り出した。軽いノック音が響く。
「待ってね。報告書を書くわ」ブレインは遠くに見える建物を睨み、紙にペンを走らせた。
『title:最終処分地』
『町の内部は金属片だらけ』
『強い力を持った何者かが送り込まれたものを壊して回っている?』
『中程度の診療所が一つ。ほかの建物よりも損傷度合いが低い』
『重要?』
「すーくん」ブレインが小さな体を伸ばし、フォルの頭に手を伸ばす。フォルはしゃがんでブレインを肩に担ぎあげた。ブレインは紙を渡し、さっきまで見ていた建物を指さす。
「あれ」フォルは報告書を読み、短く肯定した。日が陰り、影が薄く闇に溶け始めたころ、二人は船に戻った。
寝台列車のような二段のベッドに二人は寝そべった。
「帰ったら長い休暇ね」ブレインは紙束を捲る。出発前に渡されたスケジュールには、調査後の予定は入っていなかった。
「ああ、そうだな。帰ったら給料でソファーを買おう」フォルが寝返りを打った。スプリングの弱い備え付けのベッドは軋みをあげることもしない。
「素敵」ブレインが肯定すると、フォルは小さく笑った。
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