第6話 初クエスト~アクアかあさま
街の門までたどりつくとすぐに
ちょっとした平原が現れる。
これは私の輝かしい冒険譚の1ページになるのよ!
とうさまから貰った異世界のものだという日本刀を握りしめ、ダクネスかあさまから貰った純白のハーフプレートアーマーに身を包み、かあさまに作って貰った紅魔のお守りを胸に、私はしっかりと足下を踏み締める様に門をくぐる。
「アクアかあさま。私を護って。」
小さな頃から
そう言葉にすると、身体がなんだか熱くなってきて、まるで独りじゃないみたいに心強くなる
それは私の無敵のじゅもん。
そして
私はしっかりと歩き始める―。
****************
アクアかあさまの事は幼い頃から
それこそ何度となく、とうさまたちから聞かされて育った。
なんでも
私が生まれる少し前に、この世界から消えてしまったらしい。
消えた理由を聞いても、とうさまたちは少し哀しそうな笑顔で微笑むだけで、詳しくは教えて貰ってないんだけど。
でも
私の中に、アクアかあさまが居るんだっていう感じは、物心がついた時から何となく理解出来てた。
だって
とうさまはこげ茶色の髪に茶色の瞳。
かあさまは濡れたように黒い髪に、紅魔の印でもある紅い瞳。
その二人から生まれた私の瞳が紅いのは分かるけれど、何でこんなに綺麗な青い髪なの?
それに私ってば
怪我をしても知らないうちに治ってる。
自分の怪我だけならまだ何とか理解しようと努力すれば何とか許せるけれど…
とうさまたちや大切な友達とかの傷だって、何となく撫でてるだけで治せる!
まだ冒険者カードも貰ってないし
魔法だって使えないし使い方知らない。
何これ!?よね。
びっくり人間大爆笑よ。
他だって
病気なんてものをしたことないし、かあさまみたいに、紅魔の魔力抑制ローブを着てなくてもボンってならないし
何より
時々家に大勢で訪ねてくるプリーストの団体。
──アクシズ教徒って言ってたかしら…。
その中で一番偉い身体のごっついひとが先頭に
私を見るなり膝まづいてすごい笑顔で号泣しながら、
「良かった。良かった。いつまでも我々はあなた様にこの身を捧げ、尽くします。良かった。本当に良かった」
って泣いて泣いて。
アクアかあさまって
この世界の女神さまだったらしいのね。
そんな女神さまが何でこんなちっぽけな街の、ただの人間のとうさまの相棒だったの??
かあさまに聞いても
「あなたのお父さんはね。バカなのです。それも、世界を変えてしまったほどにバカな最強の冒険者なのですよ。
今も昔も、この世界の誰もお父さんには敵う者は存在しないのです。だからこうして、紅魔族随一で世界最強の大魔導師を伴侶にめとり、王国貴族や王女ですらも虜にし、女神ですらも相棒に出来るのですよ。規格外なんです。」
…なんだか分かんない……
ただ分かるのは
そんな強いとうさまだから
こんなに強いかあさまもダクネスかあさまも、心から信じて愛して
、ここまでついてきたんだなぁってことくらいかな。
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