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「同意が得られたのでしょうか」

「ドアは空いていた、玄関先で立ち止まり以上は」列の進む。「記憶に留める、書付た議事録は手元に戻した。紙の代金は自己負担か、下駄箱に乗る貯金箱は善意に訴えるのか、しれないな」

 二時間を覚悟に決めた種田と熊田の足は予測を外れ、残すところ四名を前に順番を控える。中州種苗店は昭和初期の創業、元は農業と林業から一度生花を経、昭和五十年より種を専門に現在の営みに店の続く、ディスプレイに流れた自作のビデオは耳にこびりつく、箱型のPCは熱を持ち扇風機が、贈るささやかな涼に塗り替える。

 門外不出、個々人に取り扱いは異なる、ぞんざいに部外者に公開をむしろすすんで、ヒキタミツキが記述と食い違う、種田は隣の上司が中へ配る気配をひしと感じ取れていた。町に種苗店は珍しい、被害を免れた地域の最寄とあれば関わりを持て、損なう、店は独占した利益の破れ溢れる決壊に慎重、目を光らせて。

 大勢が意見を同じに、この行列である。

 いつからだろう、種田は背後へも気配を振りまく、身につく病に近かい、薄く張ってはいた、暑さにやられてか、二人はいつの間に列の最後尾を任されていた。

「館山さん、館山リルカ様、館山さーんー」

「この人たちの次に回して」駆け込む少年がレジ台に着く。「僕が誘ったんじゃないよ、ほら完成させたんだからさ」電話をかけなきゃいけないんだ、少年は店外へ。道は寝床に就いて、信号が止まるのだろう、時刻も移動をやめる。

「いらっしゃい。ご用件は」左右へはじかれた、潔く直に告げてほしい、次々と前は空き熊田が御用聞きを受ける。

「収穫に結ぶヒキタミツキさんより分かつ品種がこちらに?」

「やっとお客さんだ」私と上司、そして背後。「お茶の用意を、それと手ぬぐいもだ」裏へ通された、紫の暖簾をくぐる、喫茶店。三席は窓側に向かい合わせの事務机とてきぱき電卓の叩き判子の打音が事務所を引き戻す。前店舗の趣きを残すにしてはいささか空間を広く、回るプロペラは木質に、迎える部屋はこちらが最適ではと誘導に従いビニールシートに腰を下ろす。

 上司を見やる、好き好んでとは二巡目のけれどを閉じよ、種田は熊田の隣に。

「やれさて」飲み物は並々の一杯と追加を自由に、取っ手のついた硝子容器は汗を掻く。手の差し出されて二人は口をつけた。熊田の匂いを嗅ぎコーヒーを注いだ、よろしいでしょうに、私には水を供えた。男は黙って、主人なりの区別が表れたのだろう。

「目を付けた方に披見差し上げます」白眼を強めて、細める。「物騒なことにとなりの新興都市では人があれよと行方がしれませんから、いけない々。、どこかで警察が聞き耳を立てるやもしれませんので」ししし。

「O署特別捜査課より参りました、種田と上司の熊田です」

 おやまあ、口では「失礼」手套を切りつつも四分一ほどの非礼である証拠に、一つとっておき隠し種を店主は見せつけた。どうだ、今度は言い放った顔がいう。

 離れる距離に比例し種の毒性に拍車のかかる。本気で警察へ告げるのか、種田は叩かれてカタカタ跳ねた電卓を頭に浮かべる。一つを忘れて、漂ういくつかを掬う、消えたこと流れたもの煙に消えた覚えと離す、手の大きさ、一度に考えに上がる頭の量は私は恵まれた体躯を得ずであるから。

「新興都市は光による栽培が市民の胃袋を支える」言い訳は喫煙室に嫌でも耳に届く、熊田はふらり部署をあけ戻る。「海を隔て被害に違いはみられますか?」

「日本全土、お客は並んでの通り世界各国からここへ足を運ぶ」けれど、店主は注釈をつけた。「ここより先には、あのひとは私にくれてやった、金銭の取引ありませんて」

 持ち出す農作物を取引と呼ぶのか、流がれヒキタミツキの横顔は後頭部を向ける。

 引継ぎは非番を室(へや)に一日の業務を終える夕刻であった、駐車場を出る車に進路を譲り種田たちは駅を目指した。引き返した、忘れ物、財布ならば戻ることもあるか。

「ああんっ、もう」入店を告げて、フレーズをならば基本(もと)より印象を強めると、気が散る、からから椅子が回る。

「頂いた、これは事実です」熊田へ手渡して、早朝玄関先に並ぶ、自ら畑にさらに前に摘み取った、詳細はとどめ、「買ったものから種を取り売ることは認められる。種物は言得ませんけれどね」

「あー、いるんじゃん」声の主に二人連れが熱を払い、腰元に少年がくしゃみを放った。


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